福岡の「老舗屋台」と「最新屋台」に見る職人の技。-屋台を作るプロフェッショナル-(前編)

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昼間には何もなかった場所に、コンパクトに折り畳まれた屋台が運び込まれ、要領よく組み立てられると、そこにお店が現れる屋台マジック。スタンダードな作りの屋台から趣向を凝らした斬新な作りの屋台まで、個性色々。その屋台作りのプロフェッショナルこそが“屋台製作職人”。製作職人と店主の想いと共に作りを見れば、屋台がもっと楽しくなる!

屋台の製作は、屋台専門の製作所に依頼したり、家などを建築している工務店に依頼したりと、屋台によってそれぞれ。新品だと製作費用は2~300万円程度掛かるようです。なかには100万円も掛けずに自作する人も。

今回は、現存する唯一の屋台製作所と、3年前に初めて屋台を製作した設計事務所を取材しました。

【老舗屋台】 屋台製作「赤城製作所」 × 屋台「伸龍」

 

“福岡屋台”を支えてきた、現存する唯一の屋台製作所

「赤城製作所」

屋台製作の指揮をとる、赤城製作所の赤城 孝子さん。

屋台を作り始めたのは昭和60年から。これまで作った屋台、その数90~100台

「元々は建具店で、屋台を作り始めたのは昭和60年。今は屋台製作1本でやっています。」

そう語るのは屋台製作を専門としている、福岡県糟屋郡にある赤城製作所の赤城孝子さん。夫婦で屋台作りを始めて約40年。職人である夫・光則さんが入院をしている今、妻の孝子さんが指揮をとり、屋台製作に取り組んでいる。最盛期には受注台数が年10台あったそう。

赤城さん「福岡市でアジア太平洋博覧会(通称よかトピア)が開催された1989年が最盛期。今は年1台あるかないか。去年は1台も作ってないよ。」

同じ作りの屋台は1台もなく、店主の背丈や使い勝手に合わせ、フルオーダーで製作をしている。

 

制作期間は約2ヶ月。長年の経験こそ職人の技

赤城さん「昔は1か月ぐらいで作りよったけど、今は作り方が前とは違って注文を受けてから渡すまで2ヶ月ぐらい。既製品は使わず全部オーダー。なんもかんも手作りです。」

金具一つにしてもそれぞれの屋台の組み立てに合わせ、鉄工所に頼み全て手作り。何度も何度も測り、合わせて作る特注品。

「裏、見てごらん」

そう促されて屋台のカウンター部分をのぞき込んでみると、サイドそしてセンターのカウンター境目に継ぎ目がない。厚みのある大きな一枚板がカウンターそして厨房の作業台になっているのだ。だから偏りもガタつきもせず、安定感がある。

この金具も特注品。これまでの経験から生まれたもの。屋台づくりの中で一番難しいのは屋根の部分だそうで、開いたとき隣り合う部分同士がきれいに合わないとひずみが出て良くないそうだ。(写真左)「ココ(屋根)の上に荷物ば載せよんしゃぁと。だから開いたとき丈夫じゃなかと。」屋根の開き一つとっても、これまでの経験や店主の声を反映させたつくりになっている。まさに職人の技だ。(写真右)

屋台作りの総監督

屋台を作り始めてからこれまで、全ての製作工程に携わってきた赤城さん。

赤城さん「大工さんの仕事に係るところは大工さんが来て、板金の仕事に係るところは板金屋さんが来て作業をしてるけど、1台の屋台を作るのに始めから最後まで携わっているのが私。」

だからそれぞれの仕事の流れを全部分かっているのだそう。

赤城さん「大工さんが先に作業するけど、次の板金屋さんが金属板を貼りやすいよう、大工さんに「隙間を少しだけ空かして」と頼んで空けてもらってたりして。そうすると次の作業しやすいけんね。それぞれの仕事の繋ぎを私がしよる。」

まさに総監督という役割を赤城さんが担っているのだ。

総監督である赤城さんは全行程張り付きで指揮をとっており、作業ごとのチェックも怠らない。

長く大事に使ってもらえる屋台作り。

足場以外、柱も納戸も総ヒノキ作りの赤城さんの屋台は、丈夫且つ見た目もきれいな仕上がりだ。

赤城さん「屋台1台の骨組みにヒノキの角材を45、6本使ってるかな。中の見えない部分や屋根にもしっかりとした上質のヒノキ資材を使っているから丈夫なんよ。」

外材は使わず全て国産。節のない上質なヒノキ材を使った見栄えのきれいさも、他にはない赤城さんの作った屋台の特徴だ。

赤城さん「それぞれの職人みんなが経験を積んだ今だからこそ1台1台作るにつれ、いいものができる。技術や作り方もそうだけど、10年15年前に比べたら資材自体も質がいいし、開発されていってるからね。後で作ったものになるにつれ一番いい。丈夫だから営業場所に修理しに行ったことないね。納めたらそのままずっと使いよんしゃる。」

この日は板金を担当する職人さんの作業日。見た目にもきれいに仕上がるよう、釘の本数や打ちどころにも細心の配慮がされ作業が進められていた。

今は1年に1台の受注。そして追い打ちをかける資材の高騰。

「1年に1台作ってるんじゃ跡継ぎはいませんよ・・・。」

一度作れば長持ちするため、現在、受注は年に1台あるかないか。去年は1台も作っていないのだそう。更に追い打ちをかけるのが資材費の値上げ。

赤城さん「今年になって資材費がめちゃくちゃ上がって。この半年で2倍近く上がったのもあるから、

製作が決まったらすぐ仕入れてしまっとかんと。いるときに仕入れしてたんじゃえらい目に遭う。」

これまで1,000円で購入していたものが1,500円、12,000円で購入していたものが2万円超と、屋台製作の負担にも大きくのしかかっているのが現状だ。

赤城さん「博多の屋台製作をこれまで担ってきている以上、大きな値上げをそうもできないしね。真面目にこの先も長く仕事をするのみ。私が生きているうちは、作った屋台は壊れないと思います(笑)。」


赤城製作所/福岡県粕屋郡

職人:赤城 孝子(あかぎ たかこ)さん

昭和45年創業の建具店。昭和60年より屋台製作を始める。屋台専門の職人が作る製作所は、福岡では残すところここ一軒のみ。


 

赤城製作所製の2台目が活躍。

屋台「伸龍」

pm5:00、屋台が到着。動かないよう定位置ですぐ固定。(写真左上)この中に椅子や備品など屋台設営の一式が積み込まれています。手際よくセッティング開始。(写真右上)椅子を組み立てカウンター等々を消毒し(写真左下)、暖簾や電気を付けたら、なんと30分で設営完了!(写真右下)

今の屋台は2台目。とにかく丈夫

「1台目も2台目も赤城さんのとこ。この2台目は平成27年の夏から使っているんで7年になります。」と店主・畠さん。

その丈夫さは長年毎日使っているからこそ実感をしているという。

畠さん「1台目も長いこと使いましたね。屋台を運んできて組み立てて、営業が終わったら直してと毎日のことですから。それを長年やってて壊れずなので丈夫さを感じます。」

建ち並ぶ屋台を見て、赤城製作所の屋台を使っているところは形がしっかりしているため、見ただけで分かるそうだ。

畠さん「この中洲エリアだけでも赤城さんの屋台を使っているとこ、結構多いですよ。数年でガタがきちゃっている屋台もある中で、赤城さんが作った屋台はどこも丈夫ですね。」

 

「伸龍」屋台のココがこだわり、ステンレス

畠さん「私の背丈に合わせた高さで作ってもらったんですよ。」

作業がしやすい高さに合わせた作りは、赤城製作所が作る屋台の特徴だ。他にも「伸龍」だけのこだわりを入れ作ってもらったという。

畠さん「作業台やカウンター縁にステンレスを取り入れました。作業がしやすく掃除がしやすいのでいつでも清潔に保てます。衛生面もそうですが、お客さんに気持ちよく過ごしてもらえるよう、清潔でいたいですからね。重たいんですけど、屋台を更に丈夫に保つことにもつながってます。」

これからの福岡屋台に想うこと ────

畠さん「屋台は安心安全で楽しいよってことを知ってほしいですね。」

日本で唯一の“屋台基本条例”のもと、屋台営業が認められている福岡市。電気・水道・下水道(汚水桝)といった、食品衛生上必要な様々な環境整備が整った今でも負のイメージを持たれていることが多いのだそう。

畠さん「随分昔とはイメージも環境整備も違うんで、安心安全で楽しく過ごしていただけます。地元の方にも県外から来られた方にも皆さんに親しまれる屋台、それが福岡の屋台だと思うんです。」

安心して屋台を楽しんでもらえるよう “博多屋台はしご酒マップ”の制作も。

路上には屋台のための電気や水道・汚水桝がお店ごとに整備されており、流水での洗い物が可能。(写真左)看板やメニュー表には金額も明記されているから安心♪(写真右)

赤城製作所製の屋台「伸龍」で食べて欲しい、オススメ看板メニュー

美味しいに決まっている♪「明太チーズ餃子」750円 & 豚骨スープモチッとした麺と食欲をそそる「焼ラーメン」950円

写真手前が、餃子×明太×チーズの最高コンビからなる「明太チーズ餃子」。博多エリアの屋台でこのメニューがいただけるのは「伸龍」だけ!そして奥が「焼ラーメン」。屋台発祥の焼ラーメンでありながら「伸龍」の焼ラーメンは一味違う!豚骨スープをベースに鉄板で蒸し焼きをしているのが特徴です。


屋台 伸龍(しんりゅう)/福岡市博多区中洲(清流公園内)

個別紹介ページ

店主:畠 ゆき(はたけ ゆき)さん

博多移動飲食業組合 組合長。


記事の後編はコチラ!

 

 

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