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FEATURE OF YATAI

屋台特集記事

福岡の「老舗屋台」と「最新屋台」に見る職人の技。-屋台を作るプロフェッショナル-(後編)

記事の前半はコチラ!

【最新屋台】 屋台製作「株式会社 リズムデザイン」 × 屋台「megane coffee&spirits」

お店が一軒建っているかのような空間を。

「株式会社 リズムデザイン」

“屋台づくりは今回が初めて”だったという(株)リズムデザイン・建築家 井手健一郎さん

設計~製作まで約1年。屋台の可能性を表現したデザイン

「1年ぐらいかかっていると思います。」───

店主の菅原さんが屋台公募に申し込む前から相談を受けていたという井手さん。

「“公募に通ったらこんな屋台を作りたいんです”とお話をいただいていて。僕らの設計スケジュールからいくとどうしても半年はかかり完成まで考えると公募に受かってからでは到底間に合わないので、前倒しで進めていきました。」

店主・菅原さんと共有をしたデザインへのこだわりにも屋台への想いがある。

井手さん「コーヒースタンドでありながらお酒も提供するBarの要素を持ったお店だったので、カウンターの高さはハイカウンターとこだわりました。」

色味や屋台そのものの形には店主・菅原さんが話した“既存の屋台の風景、赤のれんのあの風景もいいんだよね”という言葉もヒントになったという。

井手さん「屋台の屋根って4方向に傾斜している寄棟(よせむね)づくりのものが主流なんですが、それをフラットな屋根にするなど全部を対比させていこうと思ったんです。赤ちょうちんがブルーの椅子に、屋台のこげ茶の木目が明るい木目にって感じで。形としても色としても素材感としても対比させたものになる設計にしていきました。

昔ながらの屋台のつくりを格好よくするんじゃなくて、全く違うもの。“屋台ってこういうのもあり得るんだという可能性を示したい”と言う菅原さんの想いを表現をした格好です。」

完成イメージの模型。

難題を解決した“歯車レール”

福岡市の屋台基本条例を始めとするルールでは、屋台は軽車両でなければならず、本体と屋根が一体化した構造でなければならない決まりがある。

井手さん「本体の軽車両の上に屋根を後乗せ組み立てで載せたらいいと思っていたんです。」

店主・菅原さんからのリクエスト「バン(貨物車)で運んで、現場で組み立てたい」ということもあり、車に積めることができ、屋根は組み立て時に取り付ける設計で当初進めていたそう。

井手さん「福岡市に相談に行ったら認められなかったんです(笑)。車両と別の構造体というのがそもそもだめで。屋根は組み立てなど必要とせず一体的な構造であること、これが難しくて。」

この難題を解決したのが、ハンドルを回すと屋根が上がる“ハンドル設計”だ。

井手さん「水平に入力した力を垂直方向の力に変えるという歯車を見つけて。それが回ると柱に仕込んでいるレールと噛み合って屋根の部分が上がっていくんです。シャフトが入っていて、ハンドルひとつでグルグル回すと力が水平伝達して、4本の柱に上に向かう力が加わる方法です。」

ハンドルを取り付け回すことで(写真左)、柱がググッと上がり屋根が上部へ(写真右)。

「megane coffee & spirits」に行った際、ぜひ見てほしいところもこの部分だそう。

井手さん「この歯車レールがなければ屋台そのものの構造体は実現しなかったので。このレールを伝い屋根が上がっているところをぜひ見てほしいですね。ただ開店前に見るしかありませんが(笑)。」

この屋台の要、4つの柱に取り付けられた“歯車レール”。

一番大変だった「タウンエース1台に全部納めるということ」

バンの荷台に屋台1台分を納めることは設計上一苦労だったそうで、

井手さん「ハイエースで運ばれるものだと思って設計をしてたら、それより小さいサイズのタウンエースだったんですよ。(笑)」。

屋台一台分、屋根を薄くしたり寸法を調整したり、軽車両の本体以外を組み立て式にし、そのひとつひとつを限られた車のスペースに上手く納めることは容易ではなかったそう。

井手さん「毎日の積み下ろしことなので、出し入れを考えた収納の向きなど試行錯誤しました。フラットじゃないと車に載らないんで、椅子も組み立てのものにするなど考え抜いた策です。」

荷台にぎっしり。計算され尽くされた設計と積み方の、屋台1台分の組み立て部品。(写真左)フラットな状態で運ばれたブルーの色が印象的の椅子はカンタン組み立て設計。(写真右)

立ち並ぶ屋台、屋台にしかない雰囲気こそ、福岡を象徴的する風景の一つとして残って欲しい

本業の建築設計で、福岡市が推進する新たな空間と雇用を創出するプロジェクト”天神ビッグバン”の取組の一つとして、リニューアルされた水上公園の設計などにも携わったという井手さん。海外の設計者や日本の有名な建築家たちと接する中で、

井手さん「福岡の屋台の風景がすごくおおらかでアジアっぽい、やっぱり一番日本の中の大陸的な部分を屋台に感じるみたいな話をされるんです。たしかに仮設のような建物の中で見ず知らずの者同士、あの距離感で話しながら飲んでいる。そのオープンエアみたいな感じっていうのは、福岡の象徴的な風景のひとつなので残って欲しいし、屋台が立ち並んでいたあの時代までとはいかなくとも、ああいう雰囲気が戻ってくるといいなって感じますね。」

 


株式会社リズムデザイン/福岡市中央区赤坂

建築家/井手 健一郎(いで けんいちろう)さん

代表取締役。一級建築士。1978年、父は大工、母は実家が建築金物屋という両親のもと福岡市に生まれる。2000年 福岡大学工学部建築学科卒業後、渡欧。2004年、リズムデザイン設立。

https://rhythmdesign.org/


 

グッドデザイン賞を受賞。

屋台「megane coffee & spirits」

pm5:00、日本銀行福岡支店前に屋台一式が詰め込まれたタウンエースが到着。備品や組み立て部品とひとつひとつを順番に下ろし、屋台本体はレールを伝わせ慎重に。(写真左上)屋台では珍しく床を敷いている。しっかり固定。(写真右上)路上にある屋台専用の水道や下水と店内設備を繋げて(写真左下)、最後にカウンターなどを消毒。(写真右下)pm18:40、いよいよ開店!

こだわった“お店で過ごしているような感覚”

「普通の屋台とは違う新しい屋台を作りたかった。」という菅原さん。

屋台構想時から“屋根はフラットに”“床がある屋台に”が希望だったという。

菅原さん「お店にいること自体が新しい体験みたいな、そういう感じのお店にしたかったんです。」

屋台という感覚ではなく、既にそこにお店が建っていたかのような建物の中のお店にいるような感覚。

菅原さん「床はお客さんからもかなり反響ありますね。建物の中のお店に入ったような感じがするって。あと、設置をして感じたことなんですが、夏や冬の温度対策にもなっています。夏場は路面がかなり熱いから暑さ対策になっていますし、冬は下から来る風で底冷えしないから温かいんです。」

2021年度グッドデザイン賞を受賞

菅原さんの想いをカタチにしたのが株式会社リズムデザインの建築家・井手健一郎さん。

菅原さん「自分じゃ作れないし通常の屋台のカタチとは違ってくるので、自分にとっては普通の流れだったんですが、建築のプロである井手さんに依頼をしました。」

街に溶け込むそのスタイリッシュな屋台は2021年度グッドデザイン賞を受賞した。

菅原さん「選んでいただいて嬉しいですね。老舗屋台と共存できるデザインであり、屋台が立ち並ぶ風景を壊したくなかったので、その中に“新しさ”を自然なカタチで取り入れられたことは良かったなと思います。」

設計から製作まで担当をした株式会社リズムデザインの建築家・井手 健一郎さん(左側)。

お店でぜひ見てほしいポイント“照明”

菅原さん「よく言われるのは照明ですね。すごくいいって皆さん言って下さいます。」

フラットな天井に取り付けられた照明は、釣り下げや後付け電球が多い屋台では珍しい作りだ。

菅原さん「これ調光もできるんですよ。雰囲気がでるんです(笑)。」

きれいに写りこむ明かりが屋台を撮影したときの映えにも一役かっているほか、お客さんとの会話のきっかけにもなっているという。

菅原さん「気になるところがあったらどんどん聞いてほしいですね。この柱の歯車レールのこともよく聞かれるんで、屋根が上がってく仕組みを教えたりとか。聞いてもらえればなんでも説明します。」

目指しているのは“居心地のいい場所であること”

菅原さん「お客さんが居心地のいい場所にしたい」───

お店全体のなんとなくの居心地のよさ、そして菅原さん自身にとっても居心地がいい場所であるお店づくりを心掛けている。

菅原さん「一人で来られる方が多いので、深く考えずふらっと来てもらえればと思います。屋台だからといって周りの方としゃべらなくてもよくて、自分の楽な感じで過ごしてもらえればと思います。」

周りの屋台とは違い客層は20代30代の若い世代が中心。 “初めての屋台”がココ”のお客様も多い。

菅原さん「なんとなくお客さまの趣味やここでの過ごし方が似ている人が来ている感じがして。女性が安心して入れる雰囲気もあるみたいですよ。」

屋台全体を楽しんでもらうために、これからの課題も感じている。

菅原さん「他の屋台には行ったことがなくここにしか来ないっていう人が多いので、他の屋台にも行ってみてほしいですね。」

ハンドドリップの際立つコーヒーの香りが楽しめるのも、ココ「megane coffee & spirits」の醍醐味のひとつ。(写真左)居心地のよさ、そしてこの距離感こそ、菅原さんと井手さんが想いを込めた空間です。(写真右)

これからの福岡屋台に想うこと ────

屋台に行ったことがない地元の人や若い人が多いこともあり、屋台の良さについて知ってもらえていないと感じることもあるという。

菅原さん「県外の人が“屋台に行きたい”とリクエストしても、連れて行く側が行ったことがなく知らないから、屋台に行かず他のお店になってしまう。」

県外の人に自慢できる屋台が増えると、おのずと足を運び屋台がもっと身近な存在になるのかもしれない。

菅原さん「こういう屋台があるよって地元の人が薦めてくれると県外の人も嬉しいじゃないですか。珍しい屋台に連れていってもらったり地元の人が薦める屋台に行けたり。そういう場所であったり屋台が増えてくるといいなって思います。“どこに入ろう”と探し歩くのも楽しいけど、目指して行くような屋台が増えてくれるといいなって。この両方が混ざっていくと、街なかの屋台が並んでいるのも面白くなってくると思います。」

(株)リズムデザイン製の屋台「megane coffee&spirits」でいただく、こだわりの一杯

爽やかな香りとボディある飲みごたえにホッと一息「メガネブレンド」600円

こだわりの器は波佐見焼。コーヒーを陰ながら引き立たせます。

グァテマラやブラジルなど、5つの産地の豆を各オリジンごとにローストしブレンド。ほんのりと黒糖っぽい甘い後口があり、遅い時間に飲んでいただいてもホッとできるコーヒーです。アルコールもクラフトジンなど蒸留酒をメインに取り揃えてあり、珍しい一杯に出会えます。

 


megane coffee & spirits(メガネコーヒー アンド スピリッツ)/福岡市中央区天神(日本銀行福岡支店前)

個別紹介ページ

店主:菅原 武春(すがわら たけはる)さん

1967年福岡市生まれ。大学で福岡を離れ就職し、27年ぶりに福岡に帰郷。地元大手企業で5年働いたのち屋台の公募に応募。2019年10月オープン。

♦営業日はInstagramでチェック☆ https://www.instagram.com/megane_fukuoka/


 

 

 

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