街中で、気軽に身近にアートを感じる アートのまち歩き×薬院・春吉
2022年9月20日世界に誇れる現代アート都市を目指す福岡市。福岡市美術館に世界的アーティストの彫刻作品が設置されたり、福岡アジア美術館のレジデンス(滞在制作)事業が拡充されたり、アートウィークがはじまったりと、アートの動きがますます活発になっています。一方で、街中を散策すれば、ファッションやカルチャーをとおして日常的にアートに触れることもできるという、それもまた福岡の魅力です。
3回にわたってお届けする「アートのまち歩き」。第二弾は、薬院・春吉エリアです。天神からちょっとだけ離れた、利便性が高く住みやすいエリアとしてとても人気があります。
たくさんのお店が並ぶメインストリートは都会的であり、でも、一歩入り込むとマンションやアパートが密集する生活エリアでもあります。そんな福岡の人々の暮らしに溶け込みながらも、キラッと魅力を放つお店がいくつも点在しているのが、このエリアの大きな特徴です。その中から選りすぐりのアートを感じるスポットをご紹介します。
暮らしのエリアで感じるアート。日常と非日常の融合
◎LOVELESS COFFEE(ラブレス・コーヒー)
メインストリートから外れたエリア。周辺にほとんどお店が見あたらないこの場所に2011年、密やかに、だけど輝きは隠しきれないカフェ「LOVELESS COFFEE」がオープンしました。
「廃ホテルをリノベーションしたカフェ」という、ふつうなかなか思いつかないようなコンセプトでデザインされたインテリア。確かに一見カフェとは思えない個性的な外観、また内装の壁もところどころわざと破損させるなど、随所に巧みな演出がされています。この独特な空間にマッチするテーブルや椅子もオリジナルでデザインされたものだそうです。
カフェ誕生のエピソードもユニークです。もともと、SNSで「エモ神絵師」イラストレーターとして活躍するRan.さんと、広告や雑誌・MVなどで活躍するakubi Ink.が一緒にウェブ上で運営していた仮想のカフェがあり、この店舗はそれを現実で再現したものなんだそう! 店内にはRan.さんの作品も展示されています。
Ran.さんとakubi Ink.のカフェイメージに合わせ、店長・江口翔人さんが生み出したキューブ型のケーキやプリントラテアートなど、スイーツやドリンクまでもまるでアート作品。食べるのがもったいない……。あらゆる要素でアートを感じさせてくれるお店です。
LOVELESS COFFEE
住所:福岡市中央区大宮1-3-22イング大宮1F
TEL:092-401-1117
営業時間:11:00〜20:00(OS19:30)
定休日:なし
https://www.instagram.com/lovelesscoffee/
◎NO COFFEE(ノーコーヒー)
福岡在住でなくても、その名をご存知の人も多いでしょう。いまや全国ブランドとなった「NO COFFEE」ですが、その拠点は実は、天神からやや離れた平尾の住宅街の一角にあります。
開業は2015年。店主・佐藤慎介さんは、アパレル企業やおもちゃメーカーでキャリアを積んだのち、独立してお店をオープンしました。「コーヒーだけでの勝負はリスクが高く、商売として成立させるには付加価値が必要。それで自分の得意分野『ものづくり』を活かして考えたのがグッズの企画でした」と話します。
スタイリッシュな店内、そこにはたくさんのグッズが並んでいます。佐藤さん自身が欲しいと思うもの、お客さんが欲しいと思うもの、コストパフォーマンスがいいものを軸にグッズを企画。また最近では「ありそうでなかったもの」も進んで開発しているそうです。これまで「コーヒーのあるライフスタイル」をテーマに生み出したオリジナルグッズの種類は、数えきれないほど。
また、アーティストや企業とのコラボレーションも積極的にやっていて、店内で展覧会を開いたり、コラボグッズも手がけています。上写真のように、いまをときめくアーティスト・KYNEさんとのコラボも! 「常に頭をフル回転させてアイデアを練っている」という佐藤さん。わずか10坪弱のコンパクトなお店から、たくさんのアイデアを全国、さらには世界まで発信しています。
NO COFFEE
住所:福岡市中央区平尾3-17-12
TEL:092-791-4515
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月曜日
https://www.nocoffee.jp/
◎TAG STÅ(タグスタ)
アートは大好きだけど、ギャラリーに足を踏み入れるとき、ちょっとだけ勇気がいることってありませんか? 「タグスタ」ではそんな勇気は不要です。なぜならここはギャラリーに入る前にワンクッション、手前に誰もが気軽に寄れるエスプレッソスタンドがあり、気負う気持ちを和らげてくれます。
渡辺通から1本入った春吉の路地に面した場所に、2011年に開業。朝7時からオープンするエスプレッソスタンドでは、エスプレッソやハンドドリップなど一杯ずつ抽出されたコーヒーを味わえます。
奥にあるギャラリーはスタンドとつながっていて敷居の高さを感じさせず、自然に足が引き寄せられます。一方でギャラリーとして独立しているため、作品一つひとつにしっかり向き合え、また展覧会のたびに様変わりする空間の様子も楽しめます。
月1のペースで開催される展覧会はすべてオーナーの橋口靖弘さんが企画し、アーティスとともに会場構成も行います。絵画、イラスト、現代美術……有名無名かかわらず、「僕が人におすすめしたい作品であり人であり、フィーリングが合うアーティストを紹介しています」と橋口さん。「真剣にやっているアーティストの表現を、真剣に見てもらい、次につながる何かが生まれていくといいですね」と話します。
コーヒーを飲みながら日常的にアートを感じられ、かつ、しっかりとアート表現に触れられるスポットです。
TAG STÅ
住所:福岡市中央区春吉1-7-11スペースキューブ1F
TEL:092-724-7721
営業時間:7:00〜20:00
定休日:なし
https://tagsta.in/
◎Hotel Mei(ホテル・メイ)
天神、中洲、博多という主要観光エリアにすべて徒歩圏内でアクセスできる最高のロケーションにあるホテル。2019年に開業した「Hotel Mei」は、そのデザイン性もさることながら、提案するスタイルもモダンです。
客室は7タイプあり、それぞれ広さや雰囲気、宿泊可能人数が異なっていて、観光、出張、デート、ステイケーション、ホテル女子会、サプライズ、お祝い、記念日など利用空間にあわせて選べるのが魅力です。
各客室には、アート作品が飾られています。作品はすべて佐賀の福祉作業所「PICFA(ピクファ)」の利用者が創作したもの。個性と感性あふれる作品に出合えます。
1階は客室利用者に限らず、一般の人も利用できるカフェになっています。ここにも「PICFA」による作品が飾られています。吹き抜けのある開放的なカフェで、アートにも触れながらほっと一息ついてみませんか?
Hotel Mei
住所:福岡市中央区春吉2-16-19
TEL:092-771-6221
チェックイン15:00/チェックアウト10:00
https://seven-garden.com/ja/hotel/mei
◎本屋青旗(あおはた)
薬院新川沿いに2020年にオープンした「本屋青旗」は、アートブックを専門にする書店です。
入り口はちょっとわかりづらいのですが、このグラフィックを見つけたら、もう迷いはありません。スタイリッシュにデザインされたロゴやお店の扉に、期待が膨らみます。
棚に並ぶのは、グラフィックデザイン、イラスト、アートブック、ZINE(個人雑誌)やプロダクトなど、視覚文化を楽しめるようなラインナップになっています。どの本もまず表紙が魅力的で、つい手にとってしまいたくなるものばかり。棚に並ぶ様子を眺めるだけでも、いい刺激になります。
もう一つ特筆すべきは、店内の壁半分以上を使って展覧会を開催していること。写真、グラフィック、現代美術を中心に、福岡内外、東京、はたまた海外まで、店主が「いいと思ったアーティスト」を2〜3週間ごとのペースで紹介しているそうです。
開催中、あるいはこれまでに開催されたアーティストのグッズも置いてあります。本、アート作品、アートグッズ、空間……様々な感性の扉をひらき、世界を広げてくれます。
本屋青旗
住所:福岡市中央区薬院3-7-15-2F
TEL:なし
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水曜日
https://aohatabooks.com/
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