本格グルメでちょっぴり贅沢な気分になれる! 福岡の「憧れの屋台」3軒
2022年4月14日誰でも気軽に入れて、地元の名物グルメをカジュアルに楽しめる。そんな大衆的な雰囲気が魅力の福岡の屋台ですが、実はもっとたくさんの楽しみ方があります。今回紹介するのは「本格グルメを堪能したい!」という人にぜひおすすめしたい3軒。ちょっぴり贅沢な気分になれる「憧れのメニュー」をレポートします。
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雲仙(天神)
屋台バー えびちゃん(天神)
ジビエ料理屋台 情熱の千鳥足(天神)
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和洋さまざまな料理を求めて
全国から食通が通い詰める
「雲仙」
昭和通り、福岡銀行本店前。いくつかの屋台が軒を連ねるなか、ひときわ目立つ青色ののれんが「雲仙」の目印です。メニューを見てまず目に入るのが「当店名物味自慢」と書かれたおすすめ枠。「手作りギョーザ」(500円)や「めんたい玉子焼き」(700円)といった屋台の定番料理から始まりますが、よく見てみると「小柱・アスパラバター」(700円)や「せせりと野菜のトマト煮」(800円)といった洋食メニューも並びます。
さらに、奥の黒板には旬の食材やその日の仕入れで決まる日替わりメニューがラインアップ。「スペイン産赤豚のあみ焼き」(1,000円)に「新たけのこのあみ焼き」(650円)ですか! めずらしい食材や旬のメニューを見つけて、ますます食欲が刺激されます。
「おいしそうな食材に目がなくてね」と笑うのは、大将の大本幸次さん。10代から20代前半までは洋食専門で、ステーキハウスやフランス料理店で働いていたそうです。「雲仙」の初代大将だったお父さんと店に立ち始めたのは24歳のころ。その後、屋台を受け継いで現在に至ります。
「最初は『父のお客さんに自分の味を認めてもらいたい』とひと想いでやってきました。長く通ってくださる方が多く、本当にお客さんに鍛えていただきましたよ」
なるほど、先代が築いてきた不動の定番メニューに加えて、大本さんならではの特別な味。その両方が楽しめるのが今の「雲仙」というわけですね。
定番のなかでも人気なのが「めんたい玉子焼き」。その昔、毎日通っていたお客さんが「明太子を中心にして、玉子を巻いてほしい」とリクエストしたのがきっかけで生まれたメニューだそうです。中に入るのはネギときくらげ。玉子焼きにシャキシャキ、コリコリとした食感が加わり、はしが止まりません!
そうしているうちに漂い始める、香ばしい鉄板焼きの香り……。これが「スペイン産赤豚の網焼き」ですね!
仕入れ先からの勧めで気に入って以来、スペイン産イベリコ豚と赤豚を扱うようになったという大将。コロナ禍でイベリコ豚は仕入れられないそうですが、赤豚は変わらず提供しているそうです。
グリルの上で赤豚がジュウジュウと焼ける音を聞きながら、手際よく肉を焼きあげる大将の手元をちらりと覗く。この臨場感こそまさに屋台! 食欲がさらに刺激される至福の時間です。
甘味のある脂身となめらかな肉質が特長の赤豚。「熱々のうちにどうぞ」と言われるまでもないくらい、これもまたはしが止まらなくなる一品。あっという間にたいらげてしまいました。
最後に「小柱・アスパラバター」(700円)も忘れずに。このバターソースのまったりと濃厚な味わいが、たまらないんですよね~。
帰り際に『次は「えびちゃん」に行ってきます』と伝えると、「うちは『えびちゃん』と共通のお客さん、けっこう多いよ。満席の時や食事後に寄れる屋台を聞かれたらおすすめするのは『えびちゃん』。しっかりとカクテルを作ってもらって満足できますからね」と大将も太鼓判。そんな縁に身を任せてハシゴ酒を楽しむのも、福岡の屋台文化ならではです。
雲仙
住所:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神2-13-1 福岡銀行本店前(昭和通沿い)
TEL:090-8625-9512
営業時間:18:30~翌1:00
定休日:日曜日
Facebook:yatai.unzen
屋台とは思えない究極のバーで
カクテルの味に酔いしれる夜
「屋台バーえびちゃん」
「雲仙」から徒歩で5分ほど移動してたどり着いたのは、天神・日銀前にある「屋台バーえびちゃん」です。「屋台バー」という名前のとおり、メニューにあるのはビールや焼酎ではなく、カクテルやウイスキーなどの洋酒がメイン。創業者でもある先代・海老名昭夫さんののれんを引き継いだマスター・海老名剛さんと妻の亜希子さんがやさしく迎えてくれました。
まず驚くのは、店内にあるボトルの数。決められた屋台の区画の中に並ぶボトルを眺めていると、ここが屋台であることを忘れてしまいそうです……。アンバーで(琥珀色がかった)雰囲気のある照明に、レトロなポスター、きれいに整頓されたグラス類。緻密に作り込まれた内装に目が奪われます。
「屋台バー」と言っても、オーダーの仕方は通常のバーと同じです。好きなカクテルを伝えるか、好みのリキュールやフルーツを伝えればオーケー。「ショートかロングか」「すっきりめか甘めか」など、せっかくならその時の気分をマスターに伝えて作ってもらいましょう。
スタンダードカクテルは1杯880円~1,100円。「何かおすすめのものを」とお願いして作ってもらった1杯目は「ソルティードッグ」。口に含むと、グレープフルーツのさわやかな味わいが広がります。
お通しにはピーナッツとメイドイン福岡のポテトチップス。これも「えびちゃん」の定番です。
左隣の席には20代の女性4人組。卒業旅行で東京からやって来たそうで、ここが2軒目だとか。それぞれの好みのカクテルが1杯ずつできあがるたびに「わぁ~!」と歓声が上がり、屋台の空気もいっそう明るくなります。
そんななか、2杯目に頼んだのは「モクテル(アルコールなしのカクテル)」(770円~)。「モクテルとは『モック』という言葉と『カクテル』という言葉を掛け合わせた、世界共通言語なんですよ」とマスターが教えてくれると、カウンター席のみんなで「へぇ~」。この屋台の一体感、いつの間に!(笑)
※モック(mock)は英語で「真似た」の意。
いただいた「クランベリージュースのモクテル」は、クランベリージュースがベース。甘酸っぱい果実感が特徴です。
「えびちゃん」では「モクテル」はかなり前からメニューにあったそうですが、ここ数年のノンアル人気でラインアップを増やしたそうです。アルコール抜きなので、お酒が苦手でもカクテルの魅力を楽しむことができます。
「最後に1枚」と撮影をお願いしたら、お二人のこの表情。
マスターの作るカクテルの味とこの笑顔を知れば、そりゃもう通いたくなっちゃいますよ。全国にファンを持つ「屋台バー」で、思い出に残るカクテルを傾ける。これぞ大人の贅沢!
屋台バー えびちゃん
住所:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神4-2-1 日本銀行福岡支店前(昭和通沿い)
電話番号:090-3735-4939
営業時間:19:00〜翌2:00
定休日 :不定休、雨天時(日、祝営業)
Instagram:yataibarebichan
福岡・九州の新名物?!
屋台で知るジビエ料理の魅力
「ジビエ料理屋台 情熱の千鳥足」
地下鉄やバスでアクセスしやすく、買い物帰りにもすぐ立ち寄れる「天神ロフト」前は若い世代や観光客が特に多いエリア。並びの3軒の真ん中にある「ジビエ料理屋台 情熱の千鳥足」では、大将の東耕一郎さんが2017年から営業を続けています。
会社員を辞めて脱サラで飲食業界に飛び込んだ東さん。「何か尖ったコンセプトのお店を」と考え、数ある飲食のジャンルから「ジビエ」を選んだそうです。
もちろん、ジビエが苦手な人のために、ジビエ以外の定番屋台料理も提供しています。つまりは、ジビエ料理と屋台メニューの両方を一度で味わえるということ! そう考えるとついつい欲張ってしまいそうですが、やはりまず味わってもらいたいのはジビエ料理です。
まずは「豊前産猪鹿ウインナー」(4本400円)から。大分県に近い、福岡東部に位置する豊前エリアの猪と鹿をミックスしたウインナーです。パリっと香ばしく焼き上げられたウインナー。一口かじるとジュワっと肉汁があふれ出し、同時にうま味が広がります。マヨネーズとケチャップも添えられていますが、何もつけないほうがシンプルに味わえるかも!
料理に合わせるなら赤ワインか。そう思ってグラスワイン(450円)を頼んでみると、いっぱいに注いでくれました。
お酒好きにはうれしい量で、また別の料理も頼んでみたくなりますね~。
「鹿のスモーク&とろけるチーズ」(1,500円)には、熊本県球磨郡・水上で獲れた鹿を使います。まったりと濃厚な鹿のスモークとチーズの風味が溶け合って、赤ワインと相性抜群! 1枚ずつちょうど良いサイズにスライスされているので女性でも食べやすく、時間をかけて食べるおつまみにもぴったりです。
一般的に「ジビエ=高級」というイメージもありますが、屋台なら気軽に立ち寄れるし、肩ひじ張らずカジュアルに楽しめるのが魅力ですよね。紹介した2つのメニューは、仕入れや営業の状況に限らず常時提供しているとのこと。人生初のジビエ料理体験が福岡の屋台、というのもなかなか良いかも?!
ジビエ料理屋台 情熱の千鳥足
住所:〒810-0004 福岡県福岡市中央区渡辺通4-9 天神ロフト前(渡辺通沿い)
TEL:090-5690-6855
営業時間:18:30~翌1:00
定休日:不定休
Facebook:jyounetsunochidoriashi