屋台の店主が教える!“美味しい屋台” ~ラーメン編~
2024年4月5日近年、公募による屋台が続々と参入し、賑わいを見せる屋台のまち、福岡。100軒以上の屋台がそれぞれに工夫を凝らしなら、福岡の夜を盛り上げています。福岡の屋台では、定番のラーメン、おでん、焼き鳥のほか、フレンチや多国籍料理など様々な料理が楽しめるのも魅力の一つです。そんな中から、今回紹介するのは定番のラーメン。屋台のプロがオススメする屋台の味が、美味しくないわけがない!「ラーメンが美味しい屋台を教えてください」と屋台の店主に尋ねてみました。
かえしの出汁にこだわった、あっさりスープ「たけちゃんfr司」
福岡でもっとも観光客が訪れる屋台街、中洲エリア。那珂川沿いには多くの屋台が軒を連ね、国内外からのお客さんで賑わいをみせています。そんな中洲エリアで30年以上屋台を構える「伸龍」。まずは博多の屋台組合の組合長を務めている「伸龍」の畠さんに、店主が薦める、ラーメンが美味しい屋台を教えてもらいました。
伸龍
個別紹介ページ
住所:福岡市博多区中洲1-8(清流公園内)
TEL:090-3605-3591
営業時間: 18:00~翌1:00
定休日:不定休
「組合長をさせていただいているので、組合の方の屋台には顔を出すようにしています。でも私も屋台を営んでいるので、なかなか他の屋台に食べに行く機会は少ないんですよ。実は私のラーメンの好みは、あっさり派。こってりとしたラーメンがちょっと苦手なんです。だから私の好みに合うラーメンという意味で、たけちゃんfr司さんのラーメンかな。チャーシューも食べやすくて私好み。」と畠さん。
畠さんにご紹介していただいた「たけちゃんfr司」は、「伸龍」から北に春吉橋を渡って徒歩2分ほど、同じ中洲エリアにあります。
2019年8月にオープンした公募屋台2期生、昔ながらの屋台を目指す「たけちゃんfr司」。店主・中井さんは、同じ中洲エリアの屋台「司」で20年働き、ようやくチャンスをつかみ、自分の屋台を持つことが出来たのだという。
ラーメンをいただくと「伸龍」の畠さんの言葉に納得。スープだけでなく、チャーシューもあっさりとしていて、一気に完食。「お酒を飲んだ後の〆で食べるのがラーメン。飲んだ後でも食べてもらえるようにラードを使わずにあっさりとしたラーメンに仕上げています。さらに、シイタケ・かつお・野菜など数種類の食材の出汁を「かえし」(スープで割る味付けのタレ)に使っているのが、うちのラーメンの特徴ですね。あと、くさみを出さないように丁寧に灰汁をとり、継ぎ足しを行いながら1日中ずっと煮込む「呼び戻し」と言われる技法でスープを作っています。」と中井さん。
たけちゃんfr司
個別紹介ページ
住所:福岡市博多区中洲4-1(清流公園内)
TEL:070-7523-7307
営業時間:18:30〜翌1:00
定休日:不定休
ブレのない味わい「小島商店」
同じ中洲エリアを歩いていると、 “ぎょうざ”の文字の入った白い暖簾がふと目に入り、のぞいてみました。こちらは40年以上、手作り餃子にこだわる人気店「武ちゃん」。次はこちらの店主・武内さんに次の美味しいラーメン屋台のご紹介をお願いしてみました。
「美味しいラーメン屋台と言ったら、「小島商店」さんです。昔なじみってこともありますが、いや、本当に美味しいです。うちの屋台は以前春吉橋のところにあり、橋の架け替え工事でこの那珂川沿いの清流公園内に移動してきました。小島商店さんも一緒に春吉橋にいらっしゃって。その時は“白ちゃん”という名前でしたが、本当に昔から仲良くさせていただいています。特に自分の店がラーメンを取り扱っていないので、何かあれば昔から小島商店さんのラーメンを食べていました。今でももちろん食べる機会が多いです。」
武ちゃん
個別紹介ページ
住所:福岡市博多区中洲1-8(清流公園内)
TEL:090-9479-6348
営業時間:18:30〜12:30
定休日:不定休
長浜屋台街にある「長浜少衛」の店主・劉さんも、「あっさりしてスープが飲みやすくて美味しいです。」と「小島商店」のラーメンを勧めてくれました。
「小島商店」のラーメンには、博多豚骨ラーメンのほかに赤ラーメン・黒ラーメン・緑ラーメンと4種類もありますが、「武ちゃん」の武内さんはいつもベーシックな「博多豚骨ラーメン」をいただくのだとか。移店する前は、横並びで軒を連ねていた「武ちゃん」と「小島商店」。今では少し離れていますが、それでも徒歩2、3分と言ったところ。
週末はもちろん平日でも多くの観光客で賑わう那珂川沿いを歩いていると、特に賑わいを見せる春吉橋近く、行列が出来ている屋台がお目当ての「小島商店」。多い時は30人ほど並ぶこともあるという人気店です。
店主・小島さんに美味しいラーメンの秘訣を伺うと、「当たり前のことを当たり前にやっているだけです。仕込みに妥協をしないこと。休みの日でもスープ鍋の火を絶やすことはないです。お店では常に2つのスープ鍋を用意し、味の若いスープと熟成したスープ、それを掛け合わせることで、ブレのない味わいのスープに仕上げています。」
麺は女性が食べやすいように、一般的なラーメン麺より短めなのだとか。「極端に短い訳ではないです。気づく方はいないという程度に少しだけ短くしています」と小島さん。
そのちょっとした心遣いと、妥協のない姿勢が美味しいラーメンを作っているのだと納得しました。
小島商店
個別紹介ページ
住所:福岡市博多区中洲1-8(清流公園内)
TEL:090-9575-1200
営業時間:18:00~翌1:00
定休日:不定休
店主の真面目さから作られる絶品スープ「ともちゃん」
次のお店を求めて天神・日本銀行福岡支店前に移動してきました。いくつかの屋台が軒を連ねるなか、屋台を紹介してもらったのは「屋台バーえびちゃん」の店主・海老名さんです。ボトルがずらりと並び、雰囲気のある照明、ここが屋台というのを忘れてしまうほど落ち着く空間に居心地の良さを感じます。
「海老名さんが美味しいと思う屋台ラーメン教えてもらえませんか?」というお願いに、優しく笑顔で応えてくれました。
ご紹介いただいたのは、「えびちゃん」の向かい、昭和通りを挟んだ場所に構える「ともちゃん」。「お店に行くようになったのは、うちの屋台が冷泉公園から日銀前に移店してからですね。スープの鍋に常に火を入れてあるんですけど、そういった料理に対しての姿勢に好感が持てました。同じ料理を扱うプロから見て、真面目さが美味しさに繋がっているって思います。」
「ともちゃん」の店主・江口さんとは、お店を親から引き継いだ2代目同士だとか。
海老名さんにお話しを伺った前日、あいにくの天気だったため海老名さんは屋台をお休みにしたそうですが、「実は昨日も「ともちゃん」に行ってきたんですよ。うちが休みの時でも、ともちゃんは営業していることが多く、本当に真面目ですよ」と。
「屋台には、コンシェルジュの役割もあると思っています。だから何か尋ねられたらお応えできるように、新しい情報はもちろんおすすめ情報とかも、気軽に尋ねてもらえると嬉しいですね。」と海老名さんに見送られ、「ともちゃん」へ。
屋台バー えびちゃん
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住所:福岡市中央区天神4-2-1(日本銀行福岡支店前)
TEL:090-3735-4939
営業時間:金土19:00~翌1:00、日~木19:00~12:00
定休日:不定休
昭和通りの信号を渡ると、1軒佇むのが「ともちゃん」。有名人も通うという行列の絶えない人気店です。並んで待つこと30分ほど、ようやく順番が来ました。
「いらっしゃいませー!」と元気のいい声に出迎えられ席へ。
「あっさりとしてコクのあるラーメン作りを心掛けています。」と「ともちゃん」の江口さん。屋台の中には寸胴鍋が3つも並んでいます。「一つは麺を湯がく用です。こちらは完成した豚骨スープで。こっちはまだ煮込んでいて提供するための豚骨スープではないんです。営業中に最低2日間は煮込んでおり、あっさりとしたコクのある豚骨スープを作るため、うちでは豚骨のみを使用しています。100%豚骨スープです。」
大きめなチャーシューが2枚もトッピング。くさみがなくあっさりしていますが、しっかりコクのある味わいが楽しめるラーメンでした。
ともちゃん
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住所:福岡市中央区天神1-14
TEL:090-3667-5782
営業時間:18:15前後~01:00(or 01:30ぐらい)
定休日:月曜(連休の場合は、火曜定休)
屋台に行ったら外せない定番メニュー、ラーメン。シンプルだからこその店主のこだわりを感じることができた時間でした。ご紹介した以外にもまだまだラーメンが美味しい屋台はあります。ぜひお気に入りのラーメンを見つけに屋台へ行ってみませんか?
次回の「店主が教える “美味しい屋台”」は、長浜屋台街・ラーメン編です。
お楽しみに★