飲食店 水たき料亭 博多華味鳥の取組み

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丁寧に伝えることから始まるサービス

福岡県内のスーパーにも並ぶ鶏肉「華味鳥(はなみどり)」ブランドで知られるトリゼングループ。
その飲食部門・通信販売部門として2019年に分社化されたトリゼンダイニング株式会社は、
県内を中心に、「水たき料亭 博多華味鳥」をはじめ33店舗を展開しています。
観光客も多く訪れる飲食店の取り組みについてお話を聞きました。

「博多水炊き」という体験を提供する飲食店

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数々のご当地グルメがある福岡において、水炊きというのは身近である一方、外で食べる時は少し特別感のあるお食事というイメージがあります。「水たき料亭 博多華味鳥」も、そんな博多の水炊き文化そのものを伝えたいと、スタッフが卓上で水炊き鍋を給仕するスタイルを大切にしています。

インバウンド客も着実に増え、今は全体の3割ほど。単なる外食の需要としてというより、福岡という地域における「食体験」として選んでいるようです。確かに、純和風の料亭の雰囲気に触れるだけでも外国人にとってはスペシャルな経験。さらにスタッフが目の前で段階的に仕上げていく水たきの作法に触れることは、おもしろい異文化体験として旅行者の記憶にしっかり刻まれそうです。

インバウンドの比率が上がったことで全体の客数も増えているとのこと。これまで利用の少なかった平日とオフピークの時間帯に外国人の予約が入ってきたことが要因だといいます。
地元客の場合、平日は夕方6時スタートが一般的。しかし外国人観光客は夕方5時に来店する方も多く、さらに博多の食文化体験的が目的だからなのか、1時間程度で帰っていくそうです。
また海外の方は、水たきと一緒にお酒を注文する人が少ないことも、短時間化の要因の一つ。この後ラーメンや屋台など他の福岡グルメも堪能したいから、1軒目では敢えて控えめに、という思いがあるのかもしれません。


社内で無料英会話レッスン

インバウンド受け入れで立ちはだかる、言葉の壁。トリゼンダイニングでは、2024年10月から、従業員むけの無料英会話授業をスタートしました。
博多駅前にある本社ビル内で、週2回、ネイティブの先生によるレッスンを実施。毎回10人くらいが参加するほか、リモート参加者もいます。もちろん費用は安くなく、全て会社もち。最初は実施すべきか迷ったとのことですが、従業員の接客に対するモチベーションが確実に上がっていることを実感でき、やってよかったと社内でも好評のようです。


コールセンターで予約受付の一本化

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さらにもう1つ、この会社が7年前から導入している画期的な取り組みが、コールセンターによる予約の一本化です。
最近では、海外の方は特にwebサイト予約が主流ですが、電話での予約や問い合わせも少なくありません。例えば道に迷ったという電話が入ることもあり、会話ができないと困るシーンはまだまだあります。一方で、お店で働く側にとってピークタイムや休憩時間中に電話の対応をすることはスタッフの負担に。そこでコールセンターを設けて、お店の電話が鳴らない仕組みをつくり上げました。

コールセンターは本社内にあり、英会話のできるスタッフを含め常時3人体制で電話を受けています。将来的には、韓国語、中国語での対応もできればと考えているそうです。各店舗へのご予約やお問い合わせの電話が集約するため、例えば12月1カ月で受けた電話は実に4000件。また、オペレーターは全店の予約状況を把握しているため、目当ての店舗が満席だったとしても、すぐに別の空きがある店舗を紹介でき、電話をかける側にとってもありがたいサービスです。

これは特にインバウンドに向けたサービスではありませんが、結果的にお客様、店舗のスタッフ、外国人と、全方位にとってメリットのある仕組みとなっています。


グループの総合力で外食産業のリスクを軽減

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「水たき料亭 博多華味鳥」は、各店舗に女将というポジションの従業員がいます。そのお店の顔として、お客様のテーブルへ出向き挨拶をするのですが、そこで名刺をいただいたお客様にはその日のうちにお礼状を出すようにしているのだそう。こうした「心を尽くす」精神は、経営面にも表れています。

労働時間は1分単位でカウントして、残業代を支給し、給与も一般的な外食産業よりは高めに設定。さらに、報酬、夏季・冬季・決算時と年3回の賞与も毎年継続。コロナ禍中も、会長の「絶対に賞与は出す」との一念で、途切れることはなかったといいます。おかげで退職者がほとんど出ず、アフターコロナの立ち上がりも、十分な人員のもとスタートダッシュで早期に回復できました。外食事業単体ではなく、鶏肉の生産や卸、通販を持つホールディングスであったことも幸いしました。


水たき以外の業態で地元客を引きつける

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同社は一方で、水たき以外のジャンルの新規オープンも進めています。目的は地元のお客様に利用してもらうこと。博多水炊きという業態だけでは、どんなに素晴らしい料理とサービスを提供したとしても、シチュエーションとして、なかなか地元の方は頻繁に足を運びにくいのも事実です。実際、観光客をはじめとした地元以外のお客様の比率がとても高くなり、相対的に地元客の割合が下がっているのだそう。
そこで、居酒屋や焼肉など、地元の人が使いやすい飲食店にも力を入れています。違う業態も展開することで、もっと地元に愛されるお店をつくることができるのではないかと期待しています。


産休・育休からの復帰先として内勤職を用意

同社は、6:4で女性が多い職場。結婚、出産、育児とライフステージに応じた働き方にも配慮しており、産休・育休からの復帰率は100%だそうです。
通常、職場が飲食店となるとどうしても夜働かなくてはなりません。そこで、地元企業や団体に向けて店の利用を働きかける営業チームを設置。もちろん働くのは日中の時間帯です。そうすることで、育児中の従業員も職場復帰しやすくなっています。
事業の成長につながるのであれば、このような新しい変革に関しても柔軟に対応。日勤の営業チームの件も、海外のお客様だけに頼りすぎるリスクを軽減したいと考えていた中で生まれた、必然性のあるポジションでした。


博多の食文化を世界に発信できる仕事

インバウンドの活況は、利用客数と売り上げの増加という数字面での明らかなメリットだけでなく、働く側にとってもメリットが生まれています。
国籍を超えて多くのお客様に接する経験というのが、現場の人間には大きな自信に。さらに、喜んで帰ってくださる姿を見て、自分たちの文化やサービスを世界に発信できているという誇りにもつながっているそうです。

と同時に、インバウンドに寄せていくわけではなく、相手がどのようなお客様であっても、基本スタイルは変えず、丁寧かつシンプルに伝えることを意識しているそうです。
もちろん、外国語メニューなどお客様の利便性の部分は積極的に取り組みますが、それ以外は大きく変えず、最初にスープ、次にお肉、つくねを丸めてスタッフが入れ、締めの雑炊…と、言葉が通じなくても一つ一つ丁寧に行うことで、博多の食文化や鶏肉の魅力をしっかり伝えようと心がけています。

「水炊きはある意味、観光業。そういう意識で飲食に携わると、視野がぐんと広がり、世界を身近に感じることができるので、おもしろいですね」と従業員の方。

トリゼンダイニングが仕掛ける今後の展開と、従業員のモチベーションを上げる新たな取り組みも楽しみです。


水たき料亭 博多華味鳥の詳細

運営企業:トリゼンダイニング株式会社
代表者:代表取締役会長 兼 社長 河津 善博
業種:飲食業・通信販売業

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