福岡を世界有数のコーヒーの街に! 日本一を数多く輩出する秘密結社「COF-FUK」とは?
2017年1月25日最近、●●を味わうために、日本全国、そして世界から福岡に沢山の人が訪れている。
さて、●●に入るのは何だと思いますか?
もちろん、豚骨の聖地ともいえるラーメンもそうですし、もつ鍋や水炊き、そして近年注目が高まっている博多うどんがお目当てという人も多いでしょう。
でも、実は日本屈指の実力者が集い、国内外の同業者からも「福岡が一番アツい街」と噂されるのが、コーヒー。事実、福岡は2014年にコーヒーの全国大会でバリスタやカッピング、ロースターといった3人もの日本一が生まれたほか、過去には世界大会でも優勝や上位入賞を果たしたコーヒーマンたちもひしめいている、コーヒー文化が成熟した街なのです。
その躍進のきっかけの一つが、「COF-FUK(コファック)」という若手のバリスタやロースターたちで結成されたコーヒーの勉強会や情報交換をするグループ。今回は、福岡のコーヒーシーンを盛り上げる「COF-FUK」のキーマンたちに、立ち上げの経緯やグループの活動について聞いてきました。
まず、訪ねたのが2016年の9月に福岡市・小笹のアパートから平尾の長屋街へと移転したコーヒー豆の専門店「MANLY COFFEE」の店主、須永紀子さん。「COF-FUK」の発起人の一人でもあり、現在もその代表を務めています。ちなみに須永さん、前職はスターバックスのバリスタで、全国に数多いるバリスタが知識と接客を競う大会で、日本一にも輝いたこともある、指折りのコーヒースペシャリスト。エアロプレスという抽出器具に日本でもいち早く注目し、その日本大会を主宰したり、ミラノで行われた世界大会に出場するなど、コーヒーにどっぷりと魅せられた人なのです。しかも、3人の子育てをしながらコーヒーの魅力を広める活動を行っているというから、その情熱には頭がさがります。
さて、COF-FUKが誕生したのは2007年。福岡市内の人気カフェ「マヌコーヒー」の代表の西岡さんや、現在、コーヒー店とコーヒー好きを繋げるサポートを行う「Click Coffee Works」の古賀さんなどが集まり盛り上がったコーヒー談義からはじまりました。
「当時、世界ではシアトルや北欧のコペンハーゲンなどの都市が、コーヒーの街として注目を集めていました。福岡もそんなコーヒー先進都市のように、世界中から美味しいコーヒーを求めて人が集まってくるような街にすることを目標にしたんです。」と須永さん。
グループ名は、COFFEEと福岡空港の空港コード・FUKを組み合わせて命名されました。
COF-FUKが美味しいコーヒーを提供するために力を入れたのがカッピング。カッピングとはコーヒー豆の品質や個性を知るためのテイスティングのようなもので、味や香り、口当たりなどを評価することで、より上質なコーヒーを作り上げるための羅針盤にような役割があるのです。各メンバーは自分で焙煎した豆や、海外の有名店の豆などを持ち寄ってそれを批評したりアドバイスを送りあいながら、味覚と技術を磨いていきました。討論の場は、みな真剣ながらも和気あいあいとしており、互いの手のうちを一切隠さないオープンな雰囲気。
「お互いの情報をシェアすることで成長できたり、イノベーションを起こすことができるんです。こういうムーブメントって、ITの世界に近いなと思います」(須永さん)。
そんなCOF-FUKの活動のなかから、焙煎大会で世界一に輝いた「豆香洞コーヒー」(大野城市)の後藤直紀さんなど、いくつかの成果も実り出すように。福岡市・白金などで「レックコーヒー」を営む岩瀬由和さんもその一人。岩瀬さんは、2014、2015年と2年連続で日本一に輝いたバリスタ。そして、2016年の6月にアイルランドのダブリンで行われたバリスタの世界最高峰を決める大会「ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)」に日本代表として出場し、見事準優勝を獲得したのでした! COF-FUKには共同オーナーの北添修さんとともに、グループの結成当初から参加している初期メンバーです。
「グループを立ち上げた2007年時点では、マヌコーヒー以外のメンバーは自分の店を持っていなくて、みんな開業を目指していたときでした。だから勉強会もだれかの自宅で行ったり。いまはみんなが自分の店を持って忙しくなったこともあり、以前ほどの頻度では集まれていませんが、逆にお客さんがCOF-FUKのメンバーの店舗をまわって、楽しんでくれているんです」と嬉しそうに話す岩瀬さん。
競技や審査員として全国を飛び回り、その土地のコーヒーショップを回ることも多いという岩瀬さん。東京をはじめとするほかの都市ではお客さんを奪い合うような環境が多く、福岡のようにコーヒー店同士の仲が良く、常連さんが楽しんで回遊する街はとても珍しいのだと言います。
世界大会に向けては、ほかにはない良質な豆を手に入れるために、エチオピアの農園に足を運び、そこで実際に働くことでより深くコーヒーについて学ぶことができたそう。そうした産地の情報に加え、世界トップのバリスタがしのぎを削る競技会の様子など、貴重な情報もメンバーに共有されていきます。
COF-FUKの立ち上げのときに掲げた大きな目標には、一歩一歩近づいているものの、いまだ志は半ば。岩瀬さんにこれからの目標を伺うと、「一杯飲んだだけで、ストーリーを感じられるような究極のエスプレッソを淹れること」との答え。一人一人のコーヒーマンのたゆまぬ努力があるからこそ、福岡で美味しいコーヒーが飲めるのだと感謝しました。
福岡にはレベルの高いカフェがたくさんありますので,カフェでゆったり過ごすのも旅のいい思い出になるかもしれませんね。ぜひお気に入りのカフェを探してみてください。
〈MANLY COFFEE〉
福岡市中央区平尾2-14-21
TEL 092-522-6638
営業時間/12:00〜17:00、土は8:00〜
休業日/日曜、祝日
http://manly-coffee.com/
〈REC COOFFE 薬院駅前店〉
福岡市中央区白金1-1-26
TEL 092-526-2280
営業時間/8:00〜翌1:00、土日祝日は10:00〜
休業日/なし
http://rec-coffee.com
※ほかに福岡アジア美術館店、県庁東店、KITTE博多店あり