フィリピン映画特集【福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ】フィリピン映画100年記念 2019年12月
2019年12月11日〜12月24日※休館日・休映日除く 百道・早良エリアフィリピン映画100年を記念し、フィリピン映画の名作を上映
観覧料:500円(大人) 400円(大学生・高校生) 300円(中学生・小学生)
※定員制。各回入替制。
※チケットはすべて当日券。前売り券はありません。(チケットの販売は上映の1時間前からです。)
※障がい者の⽅は無料。福岡市在住の65歳以上の⽅は250円。(⼿帳や保険証などの提⽰が必要です。)
※「わの会」会員の方は250円。(会員証の提示が必要です。)
[上映作品]
廃墟からの旅立ち The Ruins
・12月11日(水曜日)11時
・12月13日(金曜日)14時
監督:ランベルト・アベリャーナ
出演:トニー・サントス ローサ・ロサル
1956年/16ミリ/モノクロ/119分/フィリピン/日本語字幕付き
朝鮮戦争の復員兵ヴィクトールは、怪我のため仕事がままならず厭世観にとらわれていた。そんな彼をクラブで働くティタが励ます。フィデル神父は彫り物職人だったヴィクトールにマリア像などの修理を依頼、ヴィクトールは次第に元気を取り戻していく。40年代から50年代を代表するアヴェリャーナ監督の代表作。イタリアのネオリアリズムを思わせる作品で、新しいフィリピン映画の可能性を示した。
神のいない三年間 Three Years Without God
・12月11日(水曜日)14時
・12月14日(土曜日)11時
監督:マリオ・オハラ
出演:ノーラ・オノール クリストファー・デ・レオン
1976年/35ミリ/カラー/124分/フィリピン/日本語字幕付き
1942年。ロサリオの恋人クリスピンは抗日ゲリラになるため村を去る。ある日道に迷った日本兵マスギがロサリオの家にやって来る。接待をされ酔ったマスギはロサリオをレイプする。ところがマスギはロサリオを真剣に愛するようになるのだった。42年から45年までの日本占領時代を描いた作品。日本軍人とフィリピン女性の和解と愛を描くという貴重な映画。フィリピンの大スター、ノーラ・オノール主演で、70年代を代表するフィリピン映画の1本。
少女ルーペ I Carry the World on My Shoulders
・12月12日(木曜日)11時
・12月14日(土曜日)14時
監督:リノ・ブロッカ
出演:シャロン・クネータ ロレッタ・マルケス
1987年/35ミリ/カラー/127分/フィリピン/日本語字幕付き
少女ルーペはスラムに住み、ゴミ拾いをして暮らしていた。ルーペは歌が上手く、ある日歌のコンテストに出場し見事優勝、審査員の目にとまり、ナイトクラブで歌手として働くことになる。主役のルーペを演じるのは現在も歌手として大活躍するシャロン・クネータ。メロドラマでありスター誕生物語でもある。社会派の巨匠として知られるリノ・ブロッカだが、娯楽映画の監督としても一流であることが分かる。
海に抱かれて In the Navel of the Sea
・12月12日(木曜日)14時
・12月18日(水曜日)11時
監督:マリルー・ディアス=アバヤ
出演:ジョマリ・イラーナ エリザベス・オロペサ
1998年/35ミリ/カラー/113分/フィリピン/日本語・英語字幕付き
ローサは島で唯一の助産婦で息子のペピートと暮らしていた。物語はペピートが母親の仕事を継ぐまでを描いているが、映画は島に住む大勢の人々の群像劇である。妻子ある男性と不倫をして子どもを身ごもるローサ。ペピートは都会からやってきた若い先生に憧れる。島では呪いや呪術が信じられており、信仰のため自らを磔にする行為などが当たり前のように出てくる。まるで神話の世界の物語のようである。
本作の脚本はパランカ文学賞の脚本部門でグランプリを獲得した。脚本のジュン・ラナは現在フィリピン映画界を代表する映画人の一人だが、当時はまだ20歳だった。1950年代のフィリピン。伝統や信仰と西洋文化が混在していた時代をファンタジックに描いたアバヤ監督の傑作である。
母と子 Child
・12月13日(金曜日)11時
・12月15日(日曜日)11時
監督:ロリー・B・キントス
出演:ヴィルマ・サントス ジョエル・トーレ
2000年/35ミリ/カラー/120分/フィリピン/日本語・英語字幕付き
香港で家政婦として働いたジョシーは6年ぶりにマニラに帰ってきた。二女のダダイは母親の事を忘れ、長男のマイケルは成績が落ちて奨学金をもらえなくなっていた。長女のカーラはドラッグに手を出し毎晩遊び歩いていた。フィリピン独特の問題に焦点をあて大ヒットを記録、日本でも劇場公開(日本題は「母と娘」)された作品。名女優ヴィルマ・サントスが主演し、カーラと感情をぶつけ合う対決はすさまじい。
マグニフィコ Magnifico
・12月15日(日曜日)14時
・12月20日(金曜日)11時
監督:マーリョ・J・デ・ロス・レイエス
出演:ジロー・マニオ アルバート・マルティネス
2003年/35ミリ/カラー/123分/フィリピン/日本語・英語字幕付き
マグニフィコは9歳の少年。両親は彼をのろまで頭の悪い子だと考えていた。しかし彼は脳性麻痺の妹の世話をしており、祖母が死んでも葬式代が工面できないという親の愚痴をきくと、一人で祖母の棺桶を作り始めるのだった。キリスト教的世界観に根ざした作品だが、みんなからのろまだと思われていた主人公が起こす様々な奇跡は、隣人を慈しむことのすばらしさ、希望を捨てずに努力することの感動を呼び覚ます。
ビザさえあれば La Visa Loca
・12月18日(水曜日)14時
・12月24日(火曜日)14時
監督:マーク・メイリー
出演:ロビン・パディリア ルファ・マエ
2005年/35ミリ/カラー/107分/フィリピン/日本語・英語字幕付き
ジェスはホテルのタクシー運転手。彼の夢はアメリカで働くことだが、いつもビザ申請を却下されていた。ある日彼はアメリカ人のテレビ番組制作者ナイジェルと知り合う。ナイジェルのつてでアメリカ行きを考えるジェスは番組制作に協力する。コミカルな内容の物語だが、その中に何故フィリピン人は海外に出て行くのかというテーマが浮かび上がる。心温まるコメディ映画の秀作。
どん底 Slingshot
・12月19日(木曜日)14時
・12月24日(火曜日)11時
監督:ブリランテ・メンドーサ
出演:ジロー・マ二オ ジャクリン・ホセ
2007年/デジタル/カラー/86分/フィリピン/日本語・英語字幕付き
マニラのスラム街。犯罪撲滅運動で警察の手入れがあり大勢の男たちが逮捕される。しかし翌日には市議の力により、みんな釈放される。輪タクの運転手のカイロ、麻薬常習者であるカイロの友人のレックス、強盗を行うエルモたち3人組などスラムで暮らす人々の群像劇である。みな犯罪をしなければ生きていけない人々だが、彼らの虚々実々のやりとりが、まるでドキュメンタリーのように進行していく。現代フィリピン映画の巨匠ブリランテ・メンドーサ監督作品。
果てしなき鎖 Shackled
・12月19日(木曜日)11時
・12月22日(日曜日)11時
監督:ローレンス・ファハルド
出演:ニコ・アントニオ アート・アクーニャ
2012年/デジタル/カラー/92分/フィリピン 日本語・英語字幕付き
マニラの貧民街に暮らすジェスは、グレイスのスマートフォンを盗む。グレイスは警察に助けを求め、雑踏の中でジェスを発見する。ジェスは警察に捕まり、暴力的に問い詰められる。一方早くスマートフォンを取り返そうとするグレイスだが、様々な手続きを踏まねばならない。フィリピン社会の驚くべき一面を描いた作品。牢獄や警察などすべて実際の建物で撮影しており、リアリティーがあふれる。
インビジブル Invisible
・12月20日(金曜日)14時
・12月22日(日曜日)14時
監督:ローレンス・ファハルド
出演:アレン・ディソン セス・ケサダ
2015年/デジタル/カラー/134分/フィリピン=日本/日本語・英語字幕付き
日本で暮らす初老のベンジーは昼は工場で働き、夜はバーで働いて故郷に送金する。日本人の男と結婚したリンダは、アパートにフィリピン人を住まわせて助けていた。不法就労のフィリピン人たちの問題を描いた作品。福岡や北海道の夕張などで撮影されているのも特徴。題名のインビジブルとはそこに暮らしているのに、存在していないかのように見えない人々の事を言ったもの。