光野浩一展『 SQUONK 』【アートスペース貘】インスタレーションを展示
開催終了 天神・薬院エリア光野浩一のインスタレーション『 SQUONK 』を展示
個人の生にまつわる違和感や矛盾、その気配を感じるための空間
光野浩一は福岡を拠点に発表活動を続ける、宮崎市在住の造形作家です。
この時代に生きる人間の姿を見つめ続けるために現代美術の表現に関わり続けています。
主なテーマは他者との関わりの中で生きていく自己の存在確認や、それを困難にしている心の闇。この問題を慢性的に抱えている他者・社会との関わりも含めて俯瞰し、客観視するためのモデル/装置を創り出すこと、そこから新しい関係を探っていくこと。
今回メインに展示するのはインスタレーション『 SQUONK 』1 点。
個人の生にまつわる違和感や矛盾、その気配を感じるための空間を創出します。
展示室中央には展開した直方体ユニット、周囲の壁にはジオラマが配されており、観客はそれを鑑賞しながら身を置いた空間を意識することになります。ユニットならびにジオラマはそれぞれ都市迷彩が施され、中央ユニットの展開部には薄い飴ゴム製のコートが浮きます。
『 SQUONK(スクォンク) 』とは、人間に発見されると自らの涙で溶けてしまう非常に憶病で醜い伝承上の生き物です。コミュニケーションに対する恐れや自己喪失の暗喩から、今作のタイトルとしました。また、コートの素材である飴ゴムは絶縁体であると同時に医療用マテリアルであり、心理学上の『ゴムの壁』(個人を家族の役割下に引き戻す力)やヒトの表層・皮膚を暗示します。個人は都市を内包します。観客が〈拘束/保護/形骸を暗示するコート〉・〈それぞれの繋がりが示されない多数のジオラマ〉の関連性に思いを巡らせることは、個人の生と社会の関係や繋がりの可能性・断絶について考えることと重なるでしょう。
今作は、現代社会に生きる人間の心理的な縮図・俯瞰図としての意味合いを強く持つものですが、同時に『自己・他者・社会』の曖昧な関係や矛盾を内包するものでもあります。それは光野浩一が日頃感じている違和感であり、観客とも感覚を共有し、新しい解釈や意識の変容を生み出せればとの試みです。
光野浩一(みつの こういち)
福岡市・アートスペース貘 企画作家 現在、宮崎市在住
1965 福岡県太宰府市生まれ
1984 宮崎県立宮崎大宮高校卒業
1989 金沢美術工芸大学油絵科卒業
SITE MITSUNO(光野浩一HP)