受け継がれてきた「おもてなしの心」が一番の魅力!地元の人々と交流を楽しみながら福岡観光を

博多人力屋 頭(かしら) 神谷嘉三さん

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歴史的なスポットや伝統文化体験など、福岡観光をさらに楽しむポイントを、地元の歴史や文化に精通する皆さんに教えていただく「地元の人に聞く!福岡の歴史・文化の魅力」インタビュー。今回は約28年間博多を中心に人力車を走らせている「博多人力屋」頭の神谷嘉三さんにお話をうかがいました。

取材対象者紹介

神谷嘉三(かみたによしみつ)さん

北九州市出身。国立神戸大学卒業後、株式会社ノエビアに入社。福岡や岡山など各地を転勤しながら13年間勤務したのちに退職し、1996年7月に「博多人力屋」を創業した。さまざまな副業と「二足のわらじ」状態を続けたのち、2004年に完全独立。現在は計7台の人力車を所有し、観光案内やイベント等で活躍している。

博多人力屋
所在地:福岡市博多区冷泉町6-10 博多町家ふるさと館前(観光拠点)
TEL:090-8836-9724
定休日:不定
https://www.jinrikiya.com/

 

きっかけは京都・渡月橋で見た人力車

「博多人力屋」を始められたきっかけや経緯をうかがえますでしょうか。

化粧品会社で働いていた頃は6年ほど、人材を新規開拓し、販売店経営者として育てる業務をしていました。専業主婦だった人が女性経営者として成功していく過程を身近で見ているうちに、自分で商売をやるのも面白そうだと、興味が湧いてきました。そして、どうせ商売をするなら、人とお話しすることが好きな自分に向いていると思う、サービス業をしようと思うようになりまして。

どんなサービス業をしようか模索していた矢先、旅行で訪れた京都・嵐山の渡月橋で、人力車が走るのを見かけたんです。当時、趣味でトライアスロンをやっていたので、人力車なら「趣味を実益に変えられる」なんてことも考えまして(笑)。サービス業でもありますし、仕事自体も楽しいかもしれないなと。しばらくして会社を辞めて福岡に戻り、約4ヶ月後には「博多人力屋」を創業しました。

 

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「ありがとう」が何よりもモチベーションに 

人力車を利用されるのは観光客が多いのでしょうか?

神社が多い博多は、今でも神前結婚式が根強い人気ということもあって、もともと観光よりも結婚式などイベント出張に需要がありました。しかし、「博多園山笠」の追い山笠前日に場所取りをした後、翌朝の本番まで時間をもて余している県外から来られた人や、博多観光で一番人気の「屋台街」へご案内など夜に需要があることに気付きまして。「ナイトクルージング」を始めると、観光でのご利用も増えてきました。

これまで利用された観光客との、印象深いエピソードなどあれば教えてください。

皆さん「乗ってよかった」って喜んでくださいますし、印象深いエピソードは数えきれないほどありますが………。この仕事は、お金を頂戴しながら「ありがとう」と言ってもらえるのがいいところだと思うんです。

結婚式などイベント出張はもちろん、まれに観光の方からもお礼状をいただくこともありますし。そういったお礼の言葉やお手紙をいただくと、この仕事をやっていてよかったなと。どんなに辛くてもこの仕事を続けていこうという、モチベーションにつながっています。

 

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歴史的・文化的価値は博多に根付く「おもてなしの心」

神谷さんご自身が福岡市の歴史や文化に深く関わられるようになったのは、この仕事を始められてからでしょうか。

そうですね。それまでは歴史に興味も無かったですし、福岡をしばらく離れていたこともあって、どんな歴史や文化があるかなど、まったく知りませんでした。しかし人力車の仕事を始めるならば、街のことをもっと知る必要があると、会社を退職した直後の1ヶ月間は、市内の図書館で福岡の歴史やイベントに関する書籍を10冊ぐらいまとめて借りて、家にこもって勉強しました。

勉強されてどんなことをお感じになりましたか?

博多には深い歴史や文化があることや、それを感じることができる古いお寺がたくさんあることを知って「これは面白いな」と。これだけの観光資源があるのだから、かつて京都・嵐山で見たような観光人力車が展開できたら、すごく楽しいだろうな、いずれはそのようにしていきたいなと思いました。

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今ではお仕事を通じてより詳しくなられたと思いますが、その神谷さんが考える、福岡市ならではの歴史的・文化的な特徴や価値はどのようなものでしょうか。

私は県外各地で暮らした経験がありますから、より実感しているのかもしれませんが、特に博多では県外や海外から来た人でも、困っているところを見かけると、自然に声をかける人が多いんです。地元の人々が、おもてなしの精神にあふれているんですね。その理由は、博多の歴史にあるのではないかと思います。

「博多旧市街」にある寺の多くが創建された鎌倉時代ごろには、中国や朝鮮半島との交易が盛んで、日本の中でも距離が近い博多は、港町として栄え、大陸からやってくる人々を日常的にお迎えしていました。その頃の「おもてなしの心」が、今も博多の人々にDNAレベルで残っているからではないかなと。先人から受け継いできた「おもてなしの心」が、福岡の歴史的・文化的な特徴・価値であり、魅力だと思います。

 

おすすめは伝統工芸品づくり体験や歴史ある酒蔵

「おもてなしの心」あふれる福岡市の中で、観光の際にぜひ訪れて欲しい歴史的スポットや、体験して欲しい地元文化など、神谷さんのおすすめは何ですか?

文化体験でいうと、私たちが拠点にしている「博多町家ふるさと館」の展示棟2Fでは、博多伝統工芸品の制作体験などができるのでおすすめです。

以前、博多人形の絵付け体験後に人力車を利用してくれた、高校生2人組に作品を見せてもらったのですが、元の素材は同じながら、それぞれの個性あふれる別物に仕上がっていたんです。だからこそ記念になるし、思い出に残るんじゃないかなと感じました。

展示棟は入館料200円で、事前予約も必要ですが、年齢問わず楽しめますし、物を買うだけでなく、体験を楽しむ「コト消費」へとシフトしている時代にぴったりな、体験ができる場所だと思います。

 

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歴史的なスポットで特におすすめはありますか?

私たちは普段、お寺を主体にご案内しているのですが、もっとも出向いているのは大博通りにある「東長寺」です。五重塔や木造の大仏があることでも知られていますが、大仏の裏側では、地獄・極楽めぐりもできると好評です。

あとは承天寺ですね。博多園山笠発祥の地であり、うどんやそば、まんじゅうなど発祥の寺でもありますが、この中にある枯山水庭園が素敵なんです。毎年11月に行われる博多旧市街のライトアップイベントでは行列ができるほど人気ですし、一度は訪れていただきたいおすすめの場所です。

 

そのほか、地元民だからこそ知る穴場的なスポットや、福岡をより楽しむポイントを教えてください。

穴場的なスポットは「博多百年蔵」。創業から150年以上の博多に唯一残る酒造所で、国の登録有形文化財に指定された、福岡市内でも希少な歴史ある建物は一見の価値があります。館内にはお酒の販売コーナーがあり、夏恒例「酒蔵de冷ガーデン」といったイベントも随時行われますので、お酒好きな人にもおすすめです。私どもの120分コースなら人力車でご案内できますので、機会があればご利用ください。

実は「博多人力屋」を始める頃、ディスプレイとして駐車させてもらえる和風飲食店を探していたところ、「博多百年蔵」が販売場所やイベントスペースを始められることを知りまして、お願いして置かせていただいていました。しかも、人力車が発明されたと言われているのが、こちらの蔵が建造された1870年。私にとっても非常に縁のある場所です。

より福岡を楽しむポイントは「地元の人との交流」

神谷さんご自身が、これからの福岡市観光や文化の発信に期待するものとはなんでしょうか?

最近は歴史ある寺町地区に「博多旧市街」と名づけて、観光スポットとして発信し始めていますが、福岡市民では知らない人も多いそうなんです。いまだに「福岡市内は何も無いですから、太宰府に行かれたほうが」なんておすすめされることもあるそうですので、地元の人々に向けてアピールしていくことも、より必要ではないかと思います。

具体的にどのようにしていくのがよろしいと思われますか?

観光業に関わる私たちが地道に活動していくのも大切ですが、市民に向けた啓蒙活動にも力を入れていく必要があると思います。福岡にはこんなにも歴史あるスポットや、博多ならではの伝統工芸品がたくさんあるのにもったいない。観光で訪れた人々に「こんなところもおすすめですし、こんな体験もできますよ」と、市民ひとりひとりが自信をもって「福岡市内観光」をおすすめできるようになればいいなと思います。

最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします。

より福岡・博多観光を楽しむには、できるだけ地元の人と交流するのがおすすめです。屋台でも飲食店でもOK。普段から地元の人が通うようなお店で会話をしていただければ、スマホではわからない生の情報を知ることができると思います。

地図やスマホを見ながら歩いている人には「どこかお探しですか」と自然に声をかけるぐらい、福岡・博多の人は開放的で、外から来る人も喜んで受け入れる土地柄なので、気軽に声をかけてみてください。しゃべり始めるとエンドレスな人も多いですから、聞いていないことまで教えてくれるかもしれませんが。それも旅の醍醐味として楽しんでいただければと思います。

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インタビューで紹介したスポット

「博多人力屋」の博多観光案内やナイトクルージング

「博多人力屋」は、昼の観光案内だけでなく、ナイトクルージングを行っているのも特徴。周遊時間や立ち寄りスポットなどさまざまなコースがありますので、お好みに合わせて選んでみては。※すべて「博多町家ふるさと館」出発、事前予約制

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