鈴木萌写真展 『底翳』 【本と写真 リブリスコバコ】
期間:2025年3月22日(土曜日)~ 2025年4月20日(日曜日)
営業時間:13時~18時
休廊日:火曜日・水曜日(会期中の祝日はオープン)
ビジュアルアーティスト・鈴木萌の福岡初個展!
写真作品だけではなく映像によるインスタレーションも同時に楽しめる空間構成!
LIBRIS KOBACOでは3月22日の土曜日より、鈴木萌写真展『底翳』開催します。
ロンドン芸術大学で写真を専攻をしたビジュアルアーティスト・鈴木萌の福岡初個展となる『底翳』。今展示『底翳』は、写真作品だけではなく映像によるインスタレーションも同時にご覧頂くことができるLIBRIS KOBACOでは初めてとなる空間構成となります。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。
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鈴木萌さんの作品『底翳』は、彼女の父親が緑内障となり少しずつ視野が欠けていくことに起している作品です。
作品集は、彼女の父親のかつての若い頃の写真から始まり、幼い頃の彼女と父親が共に写る写真や父親がフィルムでおさめた風景写真で構成されていて、そして写真は徐々に、父親が歳を重ね緑内障となり視力が失われるという事実を様々な手法で彼女が表現をした写真に変わっていきます。
父親が見ているであろう視野の欠ける風景をただ可視化をするということではなく、父親の心の内側の世界が彼女を通して表現されているのだと気づくことができる作品で、まるで小さな雫がゆっくりとゆっくりと手のひらをつたって落ちていくような感覚に私はとても近いと感じています。
徐々に視野が欠けていき、最後には失明をしてしまう…
彼女はその事実を『失明への旅』と表現しています。
鈴木萌さんが写す心の世界の旅の断片。
LIBRIS KOBACOの空間で感じ取っていただけたらと思います。
-LIBRIS KOBACO-
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「底翳」(そこひ)とは、何らかの眼内部の異常により視覚障害をきたす目の疾患の俗称として江戸時代から使われてきた言葉。そのうち、緑内障は「青底翳」(あおそこひ)と呼ばれた。
現代における視覚障害の一番多い原因疾患である緑内障の病態は、その原因や治療法にいたるまでいまだ完全な解明がされていない。点眼薬や手術の甲斐無く、私の父の緑内障も、ゆっくりと確実に視野狭窄が進行している。 父はかつて、あらゆるものをノートに書き留める人だった。旅先で写真もたくさん撮った。50年以上にもわたる編集者としてのキャリアは、常に膨大な本と文字に囲まれていた。
でも今は、視野が狭くなっていく自分の境地を、静かに淡々と受け入れているかのように見える。一方で、差し込んでくる光を離すまい、失うまい、と必死で病の進行に抗う一面をふとした瞬間に見せることもある。自分の周囲に壁をしっかりと築き、父が見えないものが見えて、父が見ているものを同じようには見ることができない他者からは同情や共感を簡単には寄せつけない。
その壁の隙間からそっと覗くと、そこには、底に潜む翳の淵を時には頼りなく、しかし時には新しい認知を求める確かな足どりで、出たり入ったりする父の姿が見え隠れする。父の失明への旅は、まるで翳と光の間を行ったり来たりする波のように進んでいる。
-鈴木萌-
///作家プロフィール///
鈴木萌
東京を拠点とするビジュアルアーテイスト。長期的なリサーチを軸にプロジェクトに取り組み、収集した証言やデータから作られるイラストやビデオなどを写真と組み合わせて、複雑な層が織り重なる「物語」として表現している。 これまで「底翳」(2020)、「Today’s Island」(2022)、「Aabuku」(2024-ongoing)など、環境問題や都市開発、身体障害などに影響を受けた人々の記憶に焦点を当てた作品を制作。写真集の編集の中で作品を物語ることを得意とし、制作した写真集は世界各地の写真集賞を受賞している。作家活動の傍ら、写真集出版レーベル「Three Books」の共同代表として、さまざまな写真集のディレクション、編集、デザインに関わる。 Luma Rencontres Dummy Award, Kassel Dummy Book Award, Arttaca Grant, Fujifilm GFX Challenge Global Grantなどを受賞
基本情報
開催期間
期間:2025年3月22日(土曜日)~ 2025年4月20日(日曜日)
営業時間:13時~18時
休廊日:火曜日・水曜日(会期中の祝日はオープン)
開催場所
本と写真 リブリスコバコ(LIBRIS KOBACO)
アクセス
福岡市地下鉄 空港線「大濠公園駅(福岡市美術館口)」4番出口から徒歩2分
料金
入場無料
予約
予約不要
問い合わせ先
メール
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