没後50年 坂本繁二郎展【久留米市美術館】
開催終了 福岡市近郊エリア久留米出身の画家、坂本繁二郎の展覧会。坂本に絵を教えた森三美、同郷同年生まれの青木繁の作品も紹介。
「巨星が落ちた」。坂本繁二郎の死を筑後地方の新聞ではそう大きく伝えました。それから50年経った今年、彼の生まれ故郷である久留米で、展覧会を開催します。
坂本繁二郎(1882-1969)は、福岡県久留米市に生まれ、ヨーロッパ留学から帰国後は久留米近郊の八女市を制作の地に選び、その地で生涯を終えました。
坂本は、ヨーロッパ留学までは牛を、帰国後は馬を、戦後は身の回りの静物、なかでも能面を、最晩年は月をおもにテーマとして取り上げました。
本展では、坂本が生涯描きつづけた静物画にとくに注目し、彼の絵画が成熟していく過程を人生の歩みとともに明らかにしていきます。その充実した人生と静寂な絵画世界が、多くの人を魅了するにちがいありません。
同じ年、同じ久留米に生まれた青木繁(1882-1911)は、坂本の親友でもありライバルでもありました。展覧会では二人の関係も紹介します。
坂本少年を画家の道へ導いた二人
幼少より絵が上手く神童と呼ばれた坂本の、早熟な画才がうかがえる水墨画の大作や、坂本少年に初めて油絵の手ほどきをした久留米の洋画家・森三美(1872-1913)の作品、そして坂本が20歳で上京するきっかけを作った、同郷・同年生まれの青木繁(1882-1911)の作品もあわせて紹介します。
東京、パリ、八女時代の代表作
東京で若手画家として活躍していた頃の牛、フランス留学中の風景画や人物画、八女にアトリエを構えてからの馬など、坂本の画業の各時代を代表する作品が登場します。
充実した静物画シリーズ
果物や植木鉢、能面などをモティーフとして繰り返し描かれた静物画は、淡く微妙な色調に厳かな静謐さを湛え、坂本芸術の到達点を示しています。本展ではこれら静物画を約60点ご紹介します。最晩年の幻想的な月の絵にも、坂本の衰えぬ芸術への探求が表れています。
期間中はギャラリートークややワークショップなど関連イベントも盛りだくさん。詳細は公式ホームページをご覧ください。