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FEATURE OF YATAI

屋台特集記事

開店から閉店まで、大将に1日密着! 知られざる屋台の舞台裏

福岡の夜の風物詩といえば、屋台。しかし、その舞台裏を知っている人は少ないかもしれません。屋台はどこからやって来て、どこへ帰るの? 屋台の大将の1日って……? 今回は、天神ビル前に屋台を構える『あごだし亭 きさいち』の大将・私市佳太さんに密着。開店準備から閉店後の後片付けまで、気になる裏側をレポートします。

―今日はよろしくお願いします。『あごだし亭 きさいち』さんは、市の公募に合格し、平成29(2017)年4月に新規参入を果たした“新しい屋台”のうちの一軒ですよね。開店準備も、従来の屋台と異なる点があるのでしょうか。

私市:昼間に買い出しと料理の仕込みを行い、夕方から設営準備。という点はどの屋台も変わらないと思います。しかしうちの場合は、自分で作った屋台を使用し、屋台の移動も設営もすべて僕とスタッフで行っているので、その違いはあるかもしれません。まぁ、百聞は一見にしかず。そろそろ時間なので屋台を取りに行きましょう。

 

16:45〜 屋台を運び出す

やって来たのは、屋台を構える天神ビルから徒歩5分ほどの距離にある屋台専用の駐車場。

―すごい、奥まで屋台がズラリ! 昼間はこんな場所に隠れていたんですね。

私市:ここは14,5台の屋台が共同でレンタルしている屋台組合専用の駐車場です。こうして共同で借りている場合もあれば、月極めの駐車場を個人で借りて一台だけ駐車している場合もあります。ここは屋根があって雨風がしのげるし、営業場所からも近いので助かっています。個人で借りる場合、オーナーさんの了承を得ることが難しかったりもしますね。

私市さんは、屋台を担いで道路をスイスイと走っていきます。

―駐車場の入り口には、バイクや車で屋台を運ぶ“引き屋”さんがスタンバイされていますね。私市さんも引き屋さんと契約しているのですか?

私市:いえ、僕は自力で運んでいます。引き屋さんは年々減っており、現在活躍されている方も契約している店を運ぶだけで手いっぱいという状態だそう。平成29年に新規参入した屋台は、僕のように自力で運んでいる店も多いと思います。

 

17:00〜 設営開始!

天神のど真ん中。地元客と観光客、いずれも立ち寄りやすい好立地。

―あっと言う間に天神ビル前に到着しましたね。素朴な疑問ですが、屋台の出店位置ってどのようにして決められているのでしょう?

私市:僕が応募した時は,公募の試験を通過できた順に、空いている場所から選べるシステムでした(※平成30年度の公募では,場所ごとでの募集)。福岡市では屋台をよりよく運営していくために様々なルールが定められていて、屋台を設置してよい時間が17:00〜と決まっているのもその一つ。これより早いとルール違反。遅れると周りの店にお客さんを取られてしまうので、設営は時間との勝負です。僕が屋台を運び、スタッフが仕込んだ料理や機材を台車に乗せ数回に分けて運んでいますが、これがなかなかの重労働で……。開店初日は21:00を過ぎても営業できなかったし、最初の1カ月はとにかく設営に四苦八苦していましたよ(笑)。

―そんな姿が想像できないくらい、今はスムーズですね。屋台の造り自体も従来の屋台とは少し違うように感じるのですが、何か秘密が?

「簡単に組み立てられる」だけでなく、「立ち寄りやすさ」「快適さ」を生む工夫が盛りだくさん。

私市:従来の屋台は、専門の職人さんが手がけているものが多いと思いますが、この屋台は、お客様の使いやすさを考えながら一から自分で設計して造ったんです。例えば、座り方。お客さんが横並びになる屋台がほとんどですが、うちは完全な「コの字型」に設計。僕が間に立ちながら、向かい合ったお客さん同士も交流できるような造りにしました。

―なるほど。イスもベンチ型でなく、一脚ずつ独立しているんですね。これなら両隣にお客さんがいても出入りしやすいし、荷物を入れるカゴまで設置されているのはありがたいです。

私市:屋台にあまり行ったことがない方や女性、若い方も気軽に立ち寄れる雰囲気にしたかったんです。目隠し用に和モダンなデザインのつい立てを置いたり、写真や金額を明記したメニューを表に張り出したり、SNSを活用したり……。営業を続けながら、どんどん進化させていきました。

モモ子さんは、元々店の常連さんだったのだとか!

私市さんが屋台を組み立てている間、屋台内の準備を行っているのはスタッフのモモ子さん。仕込んだおでんを鍋に移したり、食器を並べたりと、テキパキと準備が進んでいきます。

 

18:00前後〜 営業開始!

常連のサラリーマン、若いカップルや夫婦、韓国からの観光客まで客層は実に幅広い。

開店準備を始めて、1時間ほどで設営完了。開店して間もない時間帯ながら、お客さんが次々とやって来ました。

「どちらからいらしたんですか?」「ひざ掛け使います?」「写真撮りましょうか?」と、常に笑顔で声をかける私市さん。気さくな人柄も人気の秘密です。

設営だけでも重労働でしたが、ここからが営業本番。私市さんは注文を受けて料理を作るだけでなく、常にお客さんへ声をかけ、目配り気配りを欠かしません。

私市:僕は東京出身なんですが、旅行で訪れた九州、特に福岡がとても気に入って。知らない者同士でもすぐに仲良くなれて、おいしい料理とお酒を交わすことができる屋台にグッと惹かれたんです。「自分も、いつかこんな屋台をやりたい」と、約6年前に福岡へやって来ました。僕自身が“よそ者”だっただけに「誰でも気軽に楽しめて、居心地のよい屋台に」という思いは人一倍強いです。

 

料理とドリンクにも、独自の個性がキラリ

左上から時計回りに「牛すじ煮込み」(600円)「あごだし山芋鉄板」(650円、明太、チーズ入りは各+100円)「八女の濃〜いお茶チュー」(450円)「あごだし 丸天うどん」(650円)。

私市さんの“九州、福岡が大好き”という思いは、料理にも表れています。店名に掲げている通り、看板となるのは長崎県・平戸から直送の高級焼きあごでとるダシを主役にした料理たち。あごだしで煮込んだ「牛すじ煮込み豆腐 〜ピリ辛沖縄味」や、フワフワ・トロトロの「明太入りあごだし山芋鉄板」、「八女の濃〜いお茶チュー」など、九州の名物料理や食材がふんだんに盛り込まれています。

私市:福岡に来て、うどんだしのおいしさに感動したんです。だからうちでは、シメにラーメンではなく“うどん”。麺はだしによくなじみ、飲んだ後でもスルリといける細麺の五島うどんを採用しています。熱々を食べていただきたいので、冷めにくい有田焼の丼を使っているのもこだわりです。

―どの料理も、コク深く上品な甘みのあるダシの味わいが格別ですね。それに、ドリンクメニューの豊富さにも驚きました。角ハイボールが1杯290円なんてお得すぎる! これも「気軽に来て欲しい」という思いからですか?

私市:はい! 屋台のドリンクは、ビールに焼酎、日本酒、ウーロン茶ぐらいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、今はバリエーション豊富なお店も多いですよ。うちでは「Let’s サイコロチャレンジ!」として、1回450円でサイコロを振り、出た目の組み合わせに合わせたドリンクを楽しめるサービスも実施しています。

「楽天の決済サービス『楽天ペイ』を導入するなど、海外のお客さんにも快適に楽しんでもらえるよう頑張っているところです」と私市さん。

私市:会話のネタにもなりますし、これがきっかけでお客さん同士が盛り上がることも。初めて訪れる屋台って、なかなかに緊張するし、不安も多い。だから少しでもそれを取り除く工夫をしています。

 

深夜1:00ごろ〜 営業終了&片付けスタート

屋台は翌4:00までに完全撤収するよう定められているので、最後のお客さんをお見送りしたら急ピッチで片付けを開始します。

『あごだし亭 きさいち』のラストオーダーは24:30。余裕をもって片付けができるよう、早めに設定しているのだとか。

―(取材をしたのは12月末)さ、寒いですね(涙)。現在の気温は6.3℃らしいですよ。

私市:これくらい序の口ですよ。1月下旬や2月ごろになると1℃を切ることもあります。屋台営業は天候と気温との戦い。自分が店に立たないと営業ができないし、体調管理も重要です。「飲食経験があれば、大丈夫だろう」と思っていても、実際に営業してみると想像以上にハードでした。

流し台やガスコンロ台、つい立てなどをどんどん積み込み、あっという間にコンパクトな姿へ。

―極寒の中、食器洗い……。考えるだけでも震えます。辛い、やめたいと思うことはありませんか?

私市:確かに、冬場の後片付けは一番辛いですね。心が折れそうな日もありました。しかしそんな時はいつも、開店間もない頃、ご年配のお客さんにいただいた叱咤激励を思い出します。「屋台を続けられなくなった人もいる。あんたはその人の分も頑張って、簡単にやめなさんなよ。とにかく1年はふんばりなさい」と、ね。

後片付けもルールを守ってきっちりと。正しく清掃が行われているか、翌4:00を超えて営業している店はないかなど、担当職員による見回りも行われているそう。

それに現在屋台がある場所には、市によって電気設備と上下水道、グリーストラップ(※1)も設置されており、ゴミは提携しているゴミ業者が回収してくれるのでその点は快適。屋台や設備を片付けた後は、こうやって水を流してデッキブラシで磨きます。

(※1)グリーストラップ=下水道に食用油や食物の脂肪、残飯などが流出することを防ぐ阻集器の一種

 

「屋台にしかない魅力とやりがいがある」

「屋台での営業は、内容が濃い気がします。普段は体験できないことや人に出会える」と、私市さん。

―最後に、屋台をやってよかったと思う点を教えてください。

私市:辛いことがあっても、それを上回るやりがいがあります。開店して約1年半が過ぎ「お客さん同士が仲良くなれるコミュニティの場に」という自分の理想に、8割方近づけているのが何よりうれしいです。北海道と沖縄の方が偶然居合わせて盛り上がるなんてこと、実店舗では稀ですが、屋台ではそれが日常的に起こるのが面白い。GWや夏休みなどの繁忙期は通常の飲食店よりもグンと観光客の集客が見込めるという収入面のメリットもありますし、うちは昨年より売り上げUPすることができました。“屋台を始めてみたものの、想像以上に大変だからやめる”という方もいると聞きますが、続けた先にきっと、屋台しかない魅力に出会えると思います。

―本日はどうもありがとうございました!

 

 

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