演劇「シン・ハリマオ」福岡公演【さざんぴあ博多 多目的ホール】2024年
2024年11月23日 〜 2024年11月24日 博多令和6年度第61回福岡市民芸術祭参加作品
『シン・ハリマオ』福岡公演
<あらすじ>
1911年11月15日、谷豊は谷家の長男として福岡県筑紫郡曰佐村五十川(現在の福岡市南区五十川)に生を受ける。
1913年、豊は家族と共にマレーに渡り初めてトレンガヌの土を踏んだ。家族は理髪業を営み富を得るが、父親は豊と妹ミチエを日本の小学校で学ばせるため福岡に帰郷させる。曰佐高等小学校卒業後、母トミの迎えで再度トレンガヌに戻る。手先が器用な豊は理髪の技術をあっという間に習得し実家の理髪店を手伝いながら、地元の若者たちと喧嘩をしつつも頭角を現し親分のような存在となってゆく。面倒見と気前のよさは父親譲りであった。豊は19歳で現地マレー女性と結婚しイスラム教に入信。この結婚は父親浦吉の激怒を招き日本に送り戻される。
日本で徴兵検査を受けるが、身長が155センチ未満で僅か1センチの差で丙種合格(国民兵役には適するが現役には適しない)となる。その後、豊は福岡でアサヒ足袋(現在のアサヒシューズ株式会社)、渡邊鉄工所(現在の渡辺鉄工株式会社)に就職する。
ところが、豊が帰国中にマレーでは悲劇が立て続けて起こった。父浦吉の死と腹違いの末の妹静子の虐殺事件である。満州事変の勃発に怒った中国人暴徒が日本人街を襲撃、風邪で寝ていて逃げ遅れた静子を襲ったのだ。この当時、豊は日本にいて何も知らなかった。翌年トレンガヌを引き払い帰国した家族から妹静子の事件を初めて聞かされた豊は激怒。仇討ちを誓い再び単身マレーに入った。家族とはこれが永遠の別れとなる。
トレンガヌに戻った豊は理髪店を開くが店は表看板で鼠小僧のような盗賊(義賊)稼業を始める。妹静子の復讐を心の中で密かに決意していたのだ。やがて、豊の店にはマレー人の無頼漢たちが集まり出し急速に窃盗団が形成されてゆく。最盛期には配下3,000名と噂されるほどの大強盗団となる。だがマレー人社会を搾取する裕福な英国人と中国人の豪邸や商店だけを狙い金品を盗むが人的被害は絶対に出さない。奪ったものは貧しい庶民層に惜しげもなくすべて与える義賊団の首領である豊はハリマオと呼ばれ伝説的英雄としてマレー国内にその名を轟かせてゆく。マレー官憲は豊に莫大な懸賞金を懸け、豊はタイで逃避生活を送らざるを得なくなる。
一方1941年12月8日に始まった山下奉文将軍のマレー作戦では、陸軍中野学校出身者で構成された藤原岩市少佐(中野学校教官)を長とする諜報機関“F機関”が組織された。参謀本部ではマレー半島の実情が把握できておらず、マレー半島で活動できる日本人を探していたが、現地で盗賊として有名な“ハリマオ“の噂を聞きつけ谷豊に目を付ける。
<スタッフ>
脚本・演出:谷口 文章
舞台監督:糸山 義則
音楽:立石 潤
照明・音響:株式会社ステージクルー・ネットワーク
小道具:中島 信和
衣装:フルタニ チエコ
メイク:久保山 唯伊
制作:柴田 洋一
<キャスト>
☆谷家
豊・ハリマオ 原田 翔太郎
少年期 片渕 奏汰
父浦吉 あべ としき
母トミ 江越 美千代
妹ミチエ 真子 夏実
すみ 面谷 郁子
妹(すみの娘)静子 北川 由乃夏
叔父清吉 ヤクモ・レイ
☆F機関
田村大佐 谷口 文章
藤原少佐 嵯峨 賢成
神本利男 青柳 達也
☆ハリマオの子分
チェ=カデ(最年少の子分) 谷口 善政
ハミッド(拳法の達人) 東 久仁彦
ザカリア(爆薬の使い手) 木下 真亨
アリー(吹き矢の名人) 見弓 義高
ノール(手斧の名人) 李 涛
ハリマオの妻チェ=ミノ 松隈 遥香
イギリス人・中国人・警察官 ヘンリー 西正
講談師 金印亭 恵紅(きんいんてい えこう)
特別出演 福岡市少年少女合唱団