新たな髙島野十郎展―4つのキセキの物語【福岡県立美術館】郷土の美術をみる・しる・まなぶ 2019
開催終了 天神・薬院エリア久留米出身の洋画家、髙島野十郎の未公開作品・新発見作品など約80点を展示
明治23年に現在の福岡県久留米市に生まれた洋画家・髙島野十郎(1890-1975)は、生前にはほぼ無名でありながら、没後に注目を集めるに至った洋画家です。美術団体に背を向けた姿勢や超俗的な生活態度、徹底的な写実、仏教への信仰に裏付けられた「蝋燭」や「月」の作品群など、近代日本の洋画家のなかでも類例のない個性や作品によって、今日では幅広い人気を得ています。
福岡県立美術館は野十郎の画業に初めて光を当て、以後も彼の業績の調査や紹介に努めてきました。この営為を評価され、昨年度、ある美術愛好家から野十郎の作品15点の寄贈を受けました。神秘的な雰囲気の漂う風景画《春雨》をはじめ新出作品が含まれ、同館の野十郎コレクションの充実に寄与しました。またごく最近、関東大震災の被災地を描いた作品や彼の代表作《からすうり》に先立つ戦前作の《からすうり》も見つかるなど、想像すらしなかった野十郎の未知の画業も明らかになってきました。
福岡県立美術館で開催される本展は、寄贈作品のお披露目に併せて、未公開作品や新発見作品などを通して野十郎の新たな姿を知るとともに、野十郎に関する同館のこれまでの活動を伝えることで野十郎を新たな視点から知ってもらおうというものです。同館の野十郎コレクションを中心に総点数約80点の作品と併せて、未公開資料なども展示されます。本展は野十郎の画業や同館の野十郎追跡の「軌跡」を辿り、野十郎の「奇跡」ともいえる作品を目撃するまたとないチャンスです。
———— 福岡県立美術館 ———–