ありがとう、アルティアム イムズ閉館に伴う「最後の」展覧会
2021年7月19日イムズにある「三菱地所アルティアム」では、1989年の開館以来、“時代の新しい表現”を紹介する場所として、美術、デザイン、建築、文学、映画、演劇、ファッション、食など、幅広いジャンルの展覧会が開催されてきました。特に、現代美術においては、中堅作家の個展や地元作家に力を入れて、紹介されてきました。
今回の三菱地所アルティアム・最後の展覧会「絶望を覆すことができない恋を正義とせよ、きみが、死んでも残る花。」は、過去にアルティアムで展示され、その後もさらなる活躍を続けていらっしゃる作家7名によるグループ展です。2021年8月31日に閉館するイムズ。そのアルティアム最後の展覧会に行ってきました。
【出品作家 7名】塩田 千春/淺井 裕介/潘 逸舟/津田 直/山内 光枝/鹿児島 睦/最果 タヒ
展覧会のタイトルは、出品作家の一人である最果タヒが、アルティアム閉館前最後となる本展に寄せて書き下ろした詩≪絶滅≫の一文です。三菱地所アルティアムは、毎年約10本の展示を行い、幅広いジャンルを通して来場者に斬新な体験やアイデアを与えてきましたが、今回の展覧会でちょうど333本目の展示になります。
当日は福岡市出身の作家・鹿児島睦さんがいらして、展示した作品と三菱地所アルティアムに対する思いを語ってくれました。今回の作品≪鳥≫において、陶器に描かれた様々な花や木などはイムズやアルティアムを表し、鳥は作家自身であったり、あるいはスタッフや来場者であったりで、他のところに羽ばたいても、いつかここに戻ってくることを象徴しています。
淺井裕介さんの作品は、常設壁のビス穴の埋め戻し後を一個一個、金色の花で囲みながら、床板を剥がし、削り取る行為で出た切り屑を使ったもので,素材と建物そのものとのコミュニケーションをとるように制作したそうです。
壊れる建物を想い、その場所でしか作れないものとして、最後だからこそできた作品です。
また、イムズ館内2階の下りエスカレーターなど2箇所にも作品があります。展覧会期間中にも新たに1箇所に作品を制作予定だそうです。ぜひ探してみてくださいね。
来場者に作品を楽しんでもらい、それぞれの解釈によって新しい考えを生み出すような、意図的な企画展示を行ってきたアルティアムですが、本展を最後に閉館となります。
三菱地所アルティアムは32年間にわたり、福岡の文化発信拠点のひとつとして、訪れる人々がアーティストや作品と一体となり、気軽にアート(art)を楽しむことができるスタジアム(stadium)のような親しみやすいギャラリーを目指して「アルティアム(ARTIUM)」と命名されました。今回が最後の展覧会です。皆さん、ぜひ見に行ってみてください。