【新規参入屋台4期生】長浜屋台街が復活! ー個性あふれる屋台の魅力ー
2023年8月10日長浜地区に7軒の屋台が誕生。現在ある2軒と合わせて、9軒の『長浜屋台街』が復活します。それぞれが魅力的な9軒の屋台。料理も店主も個性派ぞろい。
①フレッシュで爽やかな明太子専門店!
「明太中毒」
店主の米満さんは28歳、熊本県出身。オープンにあたり、元野球部らしいすっきりとした短髪にして、屋台営業に気合いを入れる。
ご実家が日本料理屋を営んでおり、幼い頃から料理や飲食店経営が身近にあった。また大学で福岡に来て、明太子が大好きになった。そこで、明太子をコンセプトにしている屋台があったら面白いと思って挑戦。明太子専門店という、ありそうでなかった屋台を実現させた。
メニューには明太子料理が20種類近く並ぶ。奥様が管理栄養士。メニュー開発の立役者になってくれたと、夫婦で作成したメニューに自信たっぷり。メインの「明太とろろ鍋」はとても優しい味。明太子のメニューしかないので、くどくならないようにさっぱり食べられる工夫をしていると話す。
店主の初めての屋台は中洲の屋台でのアルバイト。その時に屋台は事業展開のヒントがたくさんあると実感したという。
屋台本体は中古をリフォームしており、色鮮やかでありながらクラシックなデザインの暖簾やロゴが目立つ。
屋台の中では野球部で一緒だった友人と二人三脚で切り盛りする姿が輝いていた。
Instagram:@mentaiyatai
②中国 四川料理を中国人店主が本場の味「ガチ中華」を提供!
「長浜少衛」
店主の劉さんは27歳、中国の蘇州市出身。“本格的な味”ではなく、“本場の四川料理”を提供したいとメニューを開発。中華料理を出す屋台はあっても、本場中華を出すのはここだけ。 劉さんは進学の地として福岡を選び来日。さらに天神で屋台に出会い、衝撃を受ける。もちろん中国にも屋台はあるが、それはイベントに出店するような簡易的な屋台だという。一方で福岡の屋台は1つ1つが個性を持ち、しっかりと存在感が出ていて、劉さんはその魅力に引き込まれた。同時に「こんな屋台がやってみたい」という想いが湧いてきたという。そこから中洲の屋台でアルバイトすることを決意し、ノウハウを培った。言語や文化、ルールが違う外国での大変な挑戦ではあったが、福岡で「屋台をやりたい」という熱い想いで公募に応募した。無事に合格し、屋台営業ができるようになったことを「本当に嬉しい」と屈託のない笑顔で喜ぶ店主の顔が印象的。
劉さんは「この屋台は自分で作った」と誇らしげ。看板に書かれた、達筆で力強い“長浜少衛”の文字も自身で書いたという。また店名の横に描かれた愛らしい少衛くんも店主が生み出した。箸入れやメニューにも登場する少衛くんもまた店を盛り上げる。
劉さんのおすすめは、1つ1つ丁寧に包まれた小籠包。
劉さんも家庭で食べ慣れている味だといい、まさに本場の味。
また劉さんがおすすめするのは、絶品醤油チャーハン。慣れた手つきで中華鍋を前後にあおり、パラッと炒められたチャーハンは醤油の香りが香ばしい。食欲をそそる本場チャーハンは締めにぴったり。
夢だった屋台の営業を楽しむ劉さんの趣味は、オンライン対戦ゲームのリーグ・オブ・レジェンド。楽しそうにゲームの話をする劉さん。四川料理で汗をかきながら、熱いゲーム話に花を咲かせてみてはいかがでしょう。
Instagram:@nagahamasyouei
③笑顔が止まらない店主の串揚げ屋台
「長浜屋台 どげん家」
店主の竹本さんは38歳、生まれも育ちも福岡。唐揚げ屋を営んでいるため、屋台でも揚げ料理の串揚げに挑戦。30年来の幼なじみが手伝ってくれている。趣味は寝ること、と愛嬌たっぷりの竹本さん。屋台に挑戦することで趣味を楽しむ機会が減ったと笑う。
オープンから一週間はバタバタで大変だったが、慣れてきたと話す。最初の屋台経験は10代の頃。子どもながらに当時の長浜屋台は明るく、華やかに見えた。その頃から自分も屋台をやってみたいと憧れを抱いていた。
親戚の大工さんにお願いし、清潔感にこだわった屋台を作ってもらった。
これまで催事などに出店することもあったので、屋台の設営には慣れている。揚げ物料理には自信があり、20種類以上のメニューを用意しており串揚げメニューだけでも17種類。これから天麩羅メニューも追加される予定なのでお楽しみに。試行錯誤であみだしたコラーゲンたっぷりの長浜ラーメンがおすすめです。
Instagram:@nagahamayataidogenya
④エンタメ屋台で長浜を盛り上げる
「長浜のひろし」
店主の井上さんは38歳、京都出身。転勤で福岡に来た。転勤ではいろんな地域に行ったが、福岡の魅力に引き込まれ、まさに「福岡のブラックホール問題に直面した」と話す。脱サラし、初めての飲食業に屋台で挑戦。前職で食品会社に勤めていたため、食品に関する知識はあったという。
店主をはじめ、屋台を切り盛りする3人は天神のある屋台の常連であったという。屋台で知り合い、趣味が同じだった仲間と共に屋台を楽しく切り盛りする様子が印象的。お客さんからのノリに豪快な笑い声で突っ込む関西のイントネーションが屋台を一層に明るくする。
屋台のコンセプトはエンタメ屋台。店主自身も屋台を楽しみ、スタッフはもちろん、客との一体感を作り出していた。エンタメの1つとして友人による木製手作りのパチンコがある。客はビー玉を弾き、入った番号の数のミートボールが提供されるというメニュー(CRミートボール)が会話を弾ませる。
メニューは今もなお開発中で、巻き方を変えてみたり、野菜串に合う旬の野菜を探したりと研究に励んでいると嬉しそうに話す。
ネタがなくなり次第、営業は終了。長々と営業はせず、仕込みや準備を丁寧にし、長浜屋台街の中で一番にオープンさせることを心がけている。この日も一番にオープンしていた。
高身長の井上さんの趣味はバスケットボール。スポーツトークにも会話が弾みそうだ。
Instagram:@nagahama.hiro
⑤⑥ユーモアあふれる店主の笑顔が隠し味
「屋台のたまちゃん」「屋台のたまちゃん別館」(グループ屋台)
「屋台のたまちゃん」の店主の鳥巣さんは44歳、長崎県壱岐市出身。学生の頃から福岡に住み、すでに20年以上経つ。「自分の人となりが世に出たら客が来なくなる(笑)」とユーモアたっぷりの鳥巣さん。
10年以上前から長浜で焼肉屋の「たまや」を営んでおり、長浜には精通している。そんな鳥巣さんは“屋台の街”だった賑やかな長浜を復活させたいという熱い思いがある。屋台は観光資源として貴重な存在だと語る。以前の長浜屋台街は暗く、衛生面も良いとは言えなかったので、今回はそのマイナスイメージを完全払拭できると意気込んでいる。
鳥巣さんの屋台はいわゆる“THE 屋台”をイメージ。そんな屋台は子連れファミリーでいっぱい。「ふるさとの壱岐はあごだし文化なので、それを味わってほしい」と話す。出店にあたって、“屋台といえば”のメニュー開発を楽しんだと言う。鳥巣さんのおすすめはあごだしのおでんと特製豚骨ラーメン。
屋台の営業は初めて。営業開始できる状態まで約2時間の時間を要する。ゼロからの設営や仕込みの準備が店舗でするよりも大変。「大変だけど、82歳のお母さん(「さよ子」の店主)が頑張っているのに、つべこべ言っていられないでしょう」とエネルギーに満ち溢れた表情が印象的。グループで隣どうし2軒を構える。「2軒をフル稼働させるため、一緒に働く新しい仲間が欲しい」と話す。そんな鳥巣さんはゴルフ好き、「屋台のたまちゃん別館」の店主、貴田さんは大衆演劇好き。気の合う仲間が溢れる屋台を目指す。
⑦活気あふれる熱狂的ホークスファンのベースボール屋台!プレイボール!
「長浜市民球場」
店主の松清さんは44歳、大阪出身。中学生の頃まで野球をし、ダイエーホークス時代からの熱狂的なホークスファン。“聖地”平和台球場最後の年、当時小学生で来福し、観戦した経験もある。さらにホークスファンが高じて、7年前に福岡へ移住するほどのホークス愛。野球愛は「する」より「観る」派。
松清さんは、以前から長浜屋台に通っていて、「さよ子」の常連だった。「初めての屋台を「さよ子」の隣でできることになったのは、とても心強かった」とのこと。
暖簾をくぐると、早速、スコアボードがお出迎え。メニューも野球のメンバー表をもじってある。3番ライト「エビとイカのダブルプレー」やクローザー「エビの5連投」等々。客は、「メニューの名前だけではどんな料理か想像できないので、どんな料理が出てくるかワクワクして待っている」と話す。
松清さんのおすすめメニューは、セカンド「豚肉とピーマンフルカウント炒め」と先発「長浜二刀流焼き」。
松清さんは大阪で飲食業経験がある。こだわりの一つは濃厚ソース。そのソースとの出会いは大阪の岸和田でお好み焼き屋を営む男性。松清さんは男性を「お父さん」と呼んで慕う。当時、普段は互いに大阪で生活しているのに、「お父さん」とは福岡の長浜屋台で出会った。しかもホークスファンという奇遇。その出会いを大切にするために、今回の屋台では「お父さん」の味で料理を提供したいと強く思い、同じソースで勝負する。
松清さんは「“ベースボール屋台”というコンセプトで公募に受かったと思うので、それを貫くことが大変だった」と、言いながらも楽しんでいる。ホークス愛を感じる屋台だが、もちろん野球ファン以外も大歓迎。屋台営業中は観戦に行けないのが残念そう。
Instagram:@nagahama0601
⑧最後の老舗・長浜の屋台
「さよ子」
店主のさよ子さんは82歳、宮崎県都城出身。長浜で営業を続けて44年。客からは「ばぁば」と呼ばれ、常連がたくさん集う屋台。コロナ禍ではとても厳しい状況を強いられたが、お客さんの「頑張れ」という言葉に背中を押されたおかげで、屋台を続けられたと笑顔で話す。
名物のおでん、もつ煮込みは開業当初から40年以上続いているメニュー。40年前の長浜屋台街は、メニューにラーメンがないのは「さよ子」だけだったといい、家庭的な料理への強いこだわりがある。当時はラーメンがない屋台として、嫌なことを言われることもあったが、ばぁばの強い意志は揺らがなかった。
準備は若い人の手を借りて、2時間ほどかかる。買い物や仕込みに始まり、屋台の営業、そして最後の片付けまでをするばぁばの睡眠時間は4時間。休みの日はぐっすり寝たいが日頃の習慣でなかなか寝られないという。それでも屋台に立つばぁばは疲れを感じさせない。他の屋台の店主が「さよ子さんを見ていると、元気づけられる」という理由がよくわかる。屋台を手伝うのは、ばぁばの娘のママ友。20年以上の付き合いだという。客をはじめ、スタッフや他の屋台の店主がさよ子さんを「お母さん」や「ばぁば」と慕って集っている光景が印象的。
おすすめはおでんやもつ煮込みはもちろん、ばぁばが慣れた手つきで5分ほどで仕上げる“たかなライス”も家庭の味として至極の一品。
9軒の個性豊かな屋台が並ぶ新たな長浜屋台街。経験豊富なベテランが若い店主に元気づけられ、ベテランが頑張る姿に勇気づけられる若い店主の姿に、チームワークを感じる。それぞれの屋台が個性を出しつつも、“長浜屋台街”の復活という同じベクトルで一体感を醸し出す。そんな街には、オープンすると同時に老若男女が集っていた。噂を聞きつけた県外からの客が笑顔で屋台をハシゴする光景もあり、新しい長浜屋台街は活気に満ち溢れている。