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FEATURE OF YATAI

屋台特集記事

屋台からコロナを出さない!ー営業を再開した屋台の今ー

新型コロナウイルス感染症対策の営業時間等の短縮要請により約1カ月もの間、全ての屋台が休業となりました。緊急事態宣言解除後の5月15日から営業が再開。福岡の名所である屋台の現状はどうなっているのでしょうか?休業期間中の取組や安全対策について、福岡市移動飲食業組合(主に中央区)と博多移動飲食業組合(主に博多区)の組合長そして組合理事にお話をお伺いしました。

 


福岡市移動飲食業組合(主に中央区)

  「なんしようと屋」西田 芳信 組合長 

  「博多っ子純情屋台 喜柳」迎 敬之 副組合長 

主に天神界隈の屋台事情を伺った、福岡市移動飲食業組合の西田 芳信組合長(左)と迎 敬之 副組合長(右)

 

全屋台が休業、はじめての事態

 

―新型コロナウイルスが流行する前、そして休業に入るまで、中央区の屋台の様子はどのような感じでしたか?

 

西田:コロナ前は国内外からの旅行者や地元の常連さんとたくさんの方に来ていただいてたんですが、2月ぐらいからだんだんと旅行者が減ってきて、3月には地元でも自粛ムード。4月になってからはほとんど営業ができない状況で、屋台全体も休業状態に。休業であれば組合としてきちんと決めた方がいいと、4月7日に発出された緊急事態宣言に基づき4月14日に福岡県が休業等を要請したのち,一斉に全屋台休業にしました。

「屋台は福岡の文化。天神の屋台はそれを守って生き抜けるよう、僕たちは頑張ってます。」と迎副組合長。

 

休業中に起こしたクラウドファンディング

 

―休業中はどのように過ごされていましたか?

西田:それぞれではありますが、屋台の掃除や整備をされた方もいらっしゃいましたし、中には別の仕事やアルバイトをされた方もいらっしゃいました。

迎:休業期間中は天神を中心とした中央区の屋台組合員に声をかけ、希望をされた35軒でクラウドファンディングを行いました。その準備や取材対応、プレスリリースなどに取り組んでいましたね。組合長から指示を受けたものを各屋台の組合員にラインで確認をとったり情報を流したりと、連携をとっていました。

 

 

常連さんに支えられて・・・2倍の寄付額に驚き

 

―クラウドファンディングでは目標額500万円の2倍寄付があったそうですね。

西田:地元の方をはじめ、観光や仕事で来られた方など、全国からたくさんの支援をいただきました。

迎:台湾やドイツ,アメリカからもあったんですよ。新聞やネットニュースなどで取り上げていただいたので、そこから今回のクラウドファンディングを知っていただいたようです。

 

―どのくらいの期間で目標額が集まったんですか?

迎:1週間で集まりました。そこまでが早かったですね。

天神の屋台は皆さん常連さんを持っていて、観光客も多いけど常連さんも多いんですよ。老舗屋台が多いのもあり常連さんがついてるんです。「屋台って今困ってるんだ」って皆さんが寄付してくださって。あとは地場の企業さんも3社ほど寄付してくださり、すごく励みになりましたね。

「SAVE THE YATAI」オリジナルグッズも作成し、屋台での取組をアピール。

 

企業とコラボした屋台きっぷを発行

 

―地域の企業ともコラボされているとか?

迎:コロナ終息後、屋台の早期復旧にむけて“屋台きっぷ”を発行しているんです。福岡市移動飲食業組合と企業2社とのコラボでやっています。

 

―どんな内容ですか?

迎:先メシ的な感じで屋台きっぷを買ってもらうと、リターンとして1,000円分の割引券を屋台きっぷとしてお渡ししています。

西田: 35店舗で使ってもらうことができます。

※先メシとは・・・飲食店を先払いで応援をするプロジェクト。チケットを先に購入し、お店再開後やコロナ終息後など、後で食事をするしくみ。

 

絆が強くなった天神地区の屋台

 

―中央区の中でも天神地区には多くの屋台がありますが、今回のコロナ禍を通して屋台同士での繋がりやその変化を感じたことはありますか?

西田:クラウドファンディングのおかげで、屋台同士、相手が見えるようになったと思います。

迎:天神地区は屋台数が多いため組合員を1班から3班まで分けていますが,天神地区が南北に長いということもあり、端同士の班の屋台がお互いの屋台や営業者を知らないということが多かったです。それが、今回のクラウドファンディングを通じてお互いの屋台や営業者を知ることができ、顔を出しやすくなりましたね。屋台同士の往来が出来るようになりました。

西田:私としても新規公募の屋台とはなかなかお付き合いがなかったんですが、今回の取組のおかげで繋がることができました。

7月某日6:00pm。準備が整った屋台から開店し始める、渡辺通り沿いの屋台。(写真左)
開店準備そしてお客様が帰られたあとは、一席一席消毒を怠らない。(写真右)

 

屋台からコロナを出したらいけない!徹底的なコロナ対策

 

―オープンに向けて取り組まれたことはありますか?

西田:再開するにあたってはガイドラインを作り組合員全員に配りました。

迎:屋台に入る前には消毒スプレーや検温、お客さんが退出したときのカウンターの掃除はふきんから使い捨ての紙ペーパーに変更するなど、徹底をしています。割り箸も今までは四隅に置いていたんですが、手渡ししてますね。

西田:私のお店ではカウンターにシールドを貼っているんですが、その都度消毒をしています。あと、厚生労働省の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)にも登録し、組合員全員にも登録を促しました。出来ることは全部やっています。

「福岡市移動飲食業組合」で策定したガイドライン

西田組合長の屋台「なんしようと屋」ではカウンター前にシールドを貼り、感染防止対策へ。密にならないよう席数を減らすなど、できることは全て取り組まれており、新しい屋台のスタイルが徹底されていた。

まだまだ厳しい屋台の現状

 

―緊急事態宣言が解除されてからの屋台の状況はどうですか?

西田:解除後すべての屋台がオープンできたわけではなく、準備が整った順に再開をしたのですが、まず人が出歩いていないので、集客はなんとも・・・。だいぶん戻ってはきているものの、ほんと常連さん頼り。一見さんや旅行者の方々がなかなかみえないのが現状です。

「オープンしてもなかなか人が戻ってこない。しばらく我慢しながら続けていくしかないです。」と、西田組合長。

―どのくらい再開されていますか?

迎:私たち福岡市移動飲食業組合(主に中央区)に入っている屋台が48軒あるのですが、普段開いているのは平均20軒ぐらいじゃないかな。解除後,金曜、土曜だけ開ける屋台が結構あるからですね。まだまだ休みがちなお店も多いです。

 

―観光客や県外からの来店はどうですか。

西田:海外はゼロ、全然ですね。国内も県またいだ行き来がまだまだだし、7月に入ってちらほら旅行者がみえてきたかな。従来の10分の1にもならんぐらいです。

迎:県をまたぐ移動が解禁になったのもあり結構来て下さるかなとは思ったんですけど、現実はなかなか・・・。うちの周りの屋台はいつもは観光客が多いのですが、今はその観光客もちょこちょこです。東京・名古屋・大阪から来たと聞きますけど、旅行客というより仕事を兼ねて来られる方の方が多いかな。

迎副組合長の屋台「博多っ子純情屋台 喜柳」では、先ず入店前に検温を実施。「お客様にも協力いただき実施しています。お互い安心して屋台を楽しんでもらいたいからですね」(喜柳スタッフ)(写真左) カウンターの四隅に置いていた箸も、お皿と共に手渡しに変更へ。(写真右)

 

「待っとったよ」の声。そしてコロナ終息への願い。

 

―再開後、お客さまからどんな声をかけられましたか?

西田:「再開待っとったよ」と言ってくださったり、県外の常連さんも「やっと来られた」と言って来てくださいましたね。「少しだけだけどクラウドファンディングもさせてもらったよ」と言ってくださった方も。ありがたいですね、本当に。

 

―これから願うことは。

西田:コロナ終息がすべてですね。終息してくれれば、お客さんも戻ってくるし、海外からも来ていただけるので。今はしっかりガイドラインを守り組合員一丸となって頑張ってますので、どうか安心して来ていただければ嬉しいです。

「プロ野球も観客を入れた試合が始まったので、ぜひ帰りに寄っていただきたい。イベントがあると、福岡も屋台も盛り上がります。」

 


博多移動飲食業組合(主に博多区)

  「寅政」石橋 三政 組合長

  「博多屋台 中洲十番」田中 博臣 組合理事

中洲を中心とした屋台事情を伺った、博多移動飲食業組合の石橋 三政組合長(左)と田中 博臣組合理事(右)

 

7割を占めていた外国人観光客

 

―新型コロナウイルスが流行する前の博多区の屋台は、どんな雰囲気でしたか?

田中:6~7割を外国人観光客が占めている時期もありました。台湾・香港・インドネシア・マレーシア・タイなどのアジア地域の方や、ラグビーワールドカップが開催されたときは欧米の方も多く訪れていましたね。世界で新型コロナウイルスが流行し始めた頃は、まだ対岸の火事のような感じで。春節(中国や台湾などにおける旧正月)のときも例年より外国人観光客は減少しましたが、来店はされてましたね。

 

―福岡県も対象となった緊急事態宣言が発令されてから、屋台は休業されましたか?

石橋:4月7日に発出された緊急事態宣言に基づき4月14日に福岡県が休業等を要請したのち,全店休業を決めました。

「コロナが流行る前の屋台こそ三密で、それが屋台の最たるものやけんね。屋台からコロナが出ないよう、対策はしていかんといかん。」と、石橋組合長。

 

―休業が決定してから組合員さんの反応はいかがでしたか?

石橋:みなさんよく協力してくれたと思います。念のため休業期間中に屋台が営業してないかどうか見回りもしたんですが、1軒も営業することはありませんでしたね。

田中:日頃から組合員と密にコミュニケーションを取っていましたが、今回のような状況になり、より団結力が強くなったように感じました。

 

 

屋台も支援の対象に

 

―休業期間中、博多移動飲食業組合で取り組まれたことなどありますか?

田中:福岡市に「屋台は日本で最も軒数が多い福岡市でも100軒ぐらいの規模の小さな集まりなので、方針や区分をはっきりしてほしい」「補償はどうなるのか」という疑問や要望を相談しました。福岡県が休業等要請を発表する際に福岡市長が一言“屋台も家賃支援の対象になる”とブログに書いてくれたことは嬉しかったですね。

石橋:補償の問題で走り回っていたから、それは救いだったね。

 

―社員やアルバイトの方への休業補償についてはどのようにされましたか?

田中:屋台も持続化給付金や雇用調整助成金の対象になっていたので、社員はもちろんアルバイトに関しても8割程の補償をする屋台もありました。

 

―社員やアルバイトの方は、現在どのような体制で勤務されているのですか?

田中:1日に勤務する従業員の人数を減らしているので、コロナ前には営業時間に4,5人いた従業員数を2,3人に減らしたり、毎日勤務してもらっていた子を週1,2回の出勤に変更させてもらっています。

軒を連ねる中洲エリアの屋台。これまで多くの観光客で埋め尽くされていた通りも、今は心なしか静か。

 

嬉しい半分、苦しい思いも

 

―再開が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?

石橋:再開できることは嬉しいけれど、売上がコロナ前の状況に戻るまではなかなか難しいから複雑かな。

田中:嬉しい半分、苦しい思いもあります。まだお客さんが戻らないから、屋台に携わっている食材の仕入れ先などの業者さんも含め、全体的に苦しいことは変わらないですから。

 

―営業再開に向けてどんな安全対策を行っていますか?

石橋:組合内で一律の対策を決めて、安全対策ガイドラインを作成しました。「カウンターに仕切りを設置」「入店時の消毒」など対策を徹底しています。

田中:従業員のマスク着用を義務付けている店や、ガイドラインをお客さんに見えるように貼っている店など、それぞれの屋台でも工夫して対策を心がけてくれていますね。

中洲にある「博多屋台 中洲十番」。どの屋台も、間隔を空けて席に座るお客さんの姿が目に入る。

「博多移動飲食業組合」で策定したガイドライン

 

―屋台を営業再開して大変なことはありますか?

石橋:屋台にお客さんが来てもらえないことかなぁ…。

田中:中洲の上流側には屋台が19軒あるんですが、まだ再開できていない屋台もあるので、19軒が揃って営業をした日が一度もないんです。足並みが揃えられるといいのですが。

 

 

屋台でこんなにゆっくりできるとは思わんかった」

 

―営業を再開してからお客さんの反応はいかがでしたか?

田中:コロナ前までの中洲地区の屋台は、観光地として毎日行列ができたり、お客さんが入れ替わり立ち替わり入って営業をしていました。でも、今は並ぶこともないから長時間滞在することができるので、「屋台でこんなにゆっくりできるとは思わんかった」という声をいただきます。客層も観光客がゼロなので地元の方が多く、店側の接客もゆっくりできるようになりましたね。

石橋:これまでは観光客で満席だったから、今は地元の人が入りやすくなったんじゃないかな。

「観光客がいないから売上が落ちたとか、再開しても屋台が成り立たないという状況になっている今、苦しい状況になるぐらい市民に支えてもらえていなかった屋台ってどうなんだろって僕は思うんです。」と、田中理事。

 

―今後どのような屋台を目指していきたいですか?

石橋:今までやってきた屋台のやり方を、これからは変えていかないといけないと思っています。

田中:反省すべきは、これまで観光客を頼りにしていたこと。観光客がいないから売上が8割落ち、再開しても屋台が成り立たないというのはよくない。こういう状況だからこそ地元福岡の人が屋台に来てくれて、最低限屋台が成り立っていくぐらい市民に愛される存在にならなければいけないと思っています。

田中:再開後ふらっと飲みに来たことがきっかけで、この1カ月足を運んで下さり、常連さんになってくれている方々がいらっしゃいます。今まで観光客頼りだった屋台の在り方を見直して、このような時期にこそ来てくださる人達を大切にしていくことからやり直すことが、大事なんじゃないかと思います。

石橋:いま目の前に座ってくれているお客さんを大事にしたいもんね。

田中:はい。どの屋台もそう感じていると思います。

「安全対策を常に心がけ頑張ってます!」「中洲の屋台を楽しみに、ぜひいらしてください。」(写真左) 消毒液は手に取りやすいようカウンターに設置。シールドを貼ったり、席の間隔も空けたりと、組合で作ったガイドラインをもとに、各屋台で取り組んでいる。(写真右)

 

ゼロからのスタート

 

―主に博多区にある屋台からのメッセージはありますか?

田中:今まで博多、特に中洲は観光エリアとして観光客が集中して訪れていたと思いますが、なるべく中洲以外にも博多区全体の屋台に地元の方々をはじめ観光客の皆さんに行ってもらいたいですね。

 

―博多区全体の屋台を楽しんでもらいたいですね

石橋:そうですね。屋台といっても昔ながらの老舗もあるし、内装や料理にこだわったお洒落な屋台など色んな屋台があるので、一軒でも多く満喫してほしいです。

田中:嬉しいことに、周辺のホテルと屋台のコラボの話も何件かお声掛けいただいていて。少しでも屋台に触れてもらえる機会があればいいなと思っています。

 

―今後、取り組んでみたいことはありますか?

田中:中洲の屋台には一人一品以上の注文や追加注文禁止などのルールを作っている屋台もありますが,そういったルールを強要することなく、お客さんが喜ぶ方法で屋台を営業していきたいですね。原点に戻って、屋台の仲間と一緒に何かできたら面白いのかなって思います。

石橋:キャッチコピーを掲げて取り組んだりとか。「初心に戻ります!屋台!」とか「ゼロからのスタート!屋台」みたいな(笑)。本当にゼロからのスタートやもんね。

田中:屋台が変化するいいチャンスだと思います。

「これまで地元の人も中洲の屋台ではゆっくり座って楽しめなかったと思うので、この機会にいらしてください。ゆっくり楽しめますよ。」

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