音と旅する鉱物展 九州大学総合研究博物館コレクション【三菱地所アルティアム】
開催終了 天神・薬院エリア日本屈指の鉱物標本を音楽家 原摩利彦による音とともに紹介します。
海底奥深くで生成した石、宇宙から落下した隕石、数十億年前の石。鉱物をめぐる時間と空間の厚みは、膨大な情報が行き交い、目まぐるしいスピードで変化していく現代において、そのスケールを捉え直すきっかけを与えてくれているようです。
本展では、国内でも最大級の750万点の貴重な博物標本・資料を収蔵する九州大学総合研究博物館の中から選りすぐりの鉱物コレクション約150点を、現代アートや舞台、映像など幅広い分野で活躍する音楽家 原 摩利彦が手がけた音とともに紹介いたします。九州大学総合研究博物館の鉱物は、通常は一般公開されておらず、本展は量・質ともに充実した標本をご覧いただける貴重な機会となります。
自然や街の中で音を集める“フィールドレコーディング”の手法を取り入れる原は、同館を訪れて収集した鉱物の音や、鉱物から連想した音をもとに作曲し、本展のための音楽を制作いたしました。原によって紡ぎ出される、五線譜に書き表せない不思議な音、どこか懐かしくも新しい揺らめく音に包まれ、鉱物を眺めることは、目には見えない遠い時代や場所への想像を掻き立て、新たな鑑賞体験をもたらすことでしょう。
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鉱物と音について考えたとき、最初に思い浮かんだのは沈黙でした。じっと動かず、何も音を発しない石。しかし石にまつわる音はたくさんあります。火打石のように石と石とをぶつけて発する音。石浜で波に引かれ、ひしめき合うように鳴る無数の丸い石たち。楽器としての石琴や石笛。化学反応を起こし溶ける微細な音。夜中にしくしくと泣くという「夜泣き石」のような言い伝えもあります。
長い年月をかけて形成された多種多様な鉱物の色や紋様、輪郭と質感を見つめているとふと我を忘れてしまうことがありますが、鉱物が内包している時間の中に意識が入り込んでいるのでしょうか。波音など自然の音や音楽を聴いているときも同じような感覚になることがあります。
音と鉱物を空間の中に配置することで標本という枠組みを越えて、新しい鉱物との出会い、感じられ方ができましたら幸いです。
原 摩利彦
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[原 摩利彦(はら まりひこ)プロフィール]
音楽家。1983年生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科修士課程中退。
音風景から立ち上がる質感・静謐を軸に、ピアノを使用したポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・現代アート・映画など、さまざまな媒体形式で制作活動を行う。2019年MH Studio Inc. 設立。近年の活動として、アルバム《Landscape in Portrait》(2017)をリリース。振付家 ダミアン・ジャレによる舞台《Omphalos》(2018)の音楽を坂本龍一と共作。彫刻家 名和晃平のインスタレーション《Biomatrix》(2018)のサウンド・スケープを担当。野田秀樹率いるNODA・MAPでは、舞台《Q》(2019)のサウンドデザインを手がけるなど、第一線で活躍するアーティストとのコラボレーション・プロジェクトも精力的に行っている。
関連イベント
音と旅する鉱物展|原 摩利彦 オープニングトーク 「音をめぐる旅」
日時:2019年12月21日(土曜日) 開場13時45分 開演14時〜(90分程度)
会場:デジタルハリウッドSTUDIO福岡(イムズ11F)
参加費:500円
定員:50名(自由席)
申込:アルティアム(092-733-2050)まで要電話予約。11月27日(水曜日)より受付開始。
音と旅する鉱物展|ギャラリーツアー 「鉱物の魅力にせまる旅」
日時:2019年1月11日(土曜日) 14時〜(30分程度)
会場:三菱地所アルティアム(イムズ8F)
※参加無料・予約不要(要展覧会チケット)